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2017 Fiscal Year Research-status Report

クローン病に対するレミケードの治療効果消失の解明と効果予測の遺伝子診断法の開発

Research Project

Project/Area Number 16K08912
Research InstitutionNagasaki University

Principal Investigator

塚元 和弘  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (30253305)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsクローン病 / インフリキシマブ / 治療感受性遺伝子 / 治療抵抗性遺伝子 / 治療効果消失の機序解明 / 腫瘍壊死因子シグナル共有経路 / 遺伝子診断 / ゲノム創薬
Outline of Annual Research Achievements

クローン病(CD)の治療薬であるインフリキシマブ(IFX)の短期(10週後)と長期(1年後)の治療効果に患者間で個人差を認める。この機序解明と,治療効果を予測できるバイオマーカーを同定するため,CD患者127名を対象に,3つのシグナル経路(TLR/IL-1/CD40)から15個の候補遺伝子を選出し,同遺伝子内の計83個の一塩基多型を用いた症例-対照研究を行った。
IFX治療10週後において,IL-1R1のrs3771200,TLR1のrs5743565とrs5743604,TLR2のrs13105517,TRAF2のrs2784075とrs3750512は,治療感受性と抵抗性を示した。この4つの多型を多変量解析した結果,IL-1R1とTLR2およびTRAF2はお互い独立して10週後の治療感受性に寄与していた。3つの遺伝子多型のうち,TLR2とTRAF2の多型を組み合わせてバイオマーカーに用いた場合,オッズ比,特異度,陽性的中率が高く,遺伝子診断に有用であった。
IFX治療1年後において,TLR2のrs13105517,CD40のrs11569323,TRAF3のrs4906267,rs72704712,rs8012367およびrs3783385は,治療感受性と抵抗性を示した。同様に,多変量解析の結果,CD40とTRAF3はお互い独立して1年後の治療感受性に寄与していた。両者の多型を組み合わせてバイオマーカーとして用いた場合,特異度と陽性的中率が高く,遺伝子診断に有用であった。
Jurkat細胞株において,有意差のあったTNFRSF1Aでrs2284344のG対立遺伝子とC対立遺伝子を別々にベクターに組み込み,ルシフェラーゼアッセイを行った結果,G対立遺伝子はC対立遺伝子よりも転写活性が高く,同遺伝子の発現変化を介してIFXの治療抵抗性に関与することが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2年間で解析した29個の候補遺伝子から,9個のインフリキシマブ(IFX)治療感受性および抵抗性遺伝子を同定したこと,4つのシグナル経路を満遍なく,かつ可能性の高い遺伝子から優先順位をつけて解析していることから,予定通り研究成果は出ている。
今年度に15個の遺伝子(83個の一塩基多型)を解析し,単変量解析でも多変量解析でも有意差を認めた治療感受性および抵抗性遺伝子として,IFX治療10週後で3つ,1年後で2つを同定した。昨年度報告したP2RX7経路とは別の3つのシグナル経路(TLR/IL-1/CD40)からそれぞれ独立して治療に関与するシグナル分子を同定できたことは,クローン病(CD)の新たな治療薬あるいはIFX耐性を克服する補助薬の標的分子としてゲノム創薬に繋がる可能性が高くなった。
平行してin silico解析と機能解析を展開しており,先のパイロット研究で相関したTNF受容体遺伝子TNFRSF1Aでrs2284344の一塩基多型に対するルシフェラーゼアッセイによって,同遺伝子の発現の変化がIFXの治療感受性および抵抗性に関与していた。CDの新たな治療薬あるいはIFX耐性を克服する補助薬の標的分子になることが期待される。
さらに,相関した遺伝子多型をバイオマーカーに用いて治療効果を予測できる遺伝子診断法を開発中である。今回は,TLR2とTRAF2の多型の組み合わせで,IFX治療10週後の治療効果を,オッズ比:10.3倍,P値:0.017,感度:53.4%,特異度:90.9%,陽性的中率:98.4%で予測できた。また,CD40とTRAF3の多型の組み合わせで,IFX治療1年後の治療効果を,オッズ比:5.7倍,P値:0.002,感度:83.5%,特異度:52.6%,陽性的中率:90.0%で予測できた。

Strategy for Future Research Activity

着目した4つのシグナル経路上の残りの候補遺伝子に対して,すべてのシグナル経路を満遍なく,かつ可能性の高い遺伝子から優先順位をつけて多型解析を継続し,IFXの治療効果に関与する複数の治療感受性および抵抗性遺伝子を同定する。
同定した治療感受性および抵抗性遺伝子に対して,HaploRegやGENCODEやGWAVA等のデータベースを用いてin silico解析を行う。また,一塩基多型のそれぞれの対立遺伝子を含む発現ベクターを作製し,大腸菌内で強制発現させてmRNAとタンパク質の発現量をreal-time PCR法とウエスタン・ブロット法で定量して比較する。同時にルシフェラーゼアッセイも行い,発現変化の有無を探る。
同定した複数の治療感受性および抵抗性遺伝子の遺伝子多型がお互いに独立して治療感受性および抵抗性に寄与しているかを多変量解析(多項ロジスティック回帰分析)で検証する。続いて,独立していた遺伝子多型を複数組み合わせてバイオマーカーに用いた遺伝子診断を行い,相対的危険度をオッズ比で表す。そして,10週後あるいは1年後のIFXの治療効果や治療効果消失を予測でき,且つ感度,特異度,陽性的中率の高い遺伝子診断法を開発する。そして,短期的と長期的予測を踏まえてクローン病患者に最適な治療法が選択できる治療戦略を示す。
本研究の同意を得た新規クローン病患者30例を対象に,今までに相関を示した遺伝子多型に限定して多型解析を行い,帰納法的手法でIFXの治療感受性および抵抗性遺伝子の可能性を検証する。

Remarks

論文発表後にWebで研究成果を公開する予定である。

Research Products

(3 results)

All 2018 2017

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] TNFRSF1Aのrs2284344多型はインフリキシマブ治療抵抗性に関与する2018

    • Author(s)
      田添優奈,谷口隼輔,稲嶺達夫,近藤新二,磯本 一,塚元和弘
    • Organizer
      日本薬学会第137年会
  • [Presentation] Associations between a polymorphism of the gene encoding the Toll like receptor and response to infliximab in Japanese patients with Crohn’s disease2017

    • Author(s)
      Ma S, Fukumitsu Y, Noma Y, Inamine T, Kondo S, Urabe S, Matsushima K, Uehara R, Honda T, Machida H, Yamaguchi N, Ohnita K, Takeshima F, Isomoto H, Nakao K, Tsukamoto K
    • Organizer
      67th American Society of Human Genetics Annual Meeting
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] IL-1R1受容体の下流シグナル経路はクローン病患者におけるインフリキシマブ長期治療効果に関与する2017

    • Author(s)
      野間友梨恵,吉村 萌,福満悠史,馬 碩,稲嶺達夫,近藤新二,磯本 一,塚元和弘
    • Organizer
      第34回日本薬学会九州支部大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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