2016 Fiscal Year Research-status Report
覚せいアミン類のオンサイト検出を目的とする新規イムノアッセイシステムの開発
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16K08953
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森田 いずみ 神戸薬科大学, 薬学部, 助手 (20299085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 典裕 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (90205477)
大山 浩之 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (80572966)
上田 宏 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (60232758)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 覚せいアミン / アンフェタミン / メタンフェタミン / 誘導体化 / モノクローナル抗体 / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
深刻化する覚せい剤乱用の取り締まりに資することを目的として、より簡便・迅速に現場で検出が可能な新規オンサイトイムノアッセイシステムの構築を試みた。覚せいアミン類は、ハプテン抗原のなかでも特に分子量が小さく、高親和力抗体の調製が極めて難しい。そこで、そのアミノ基を利用して免疫原性の大きな誘導体に変換することで、実用的なモノクローナル抗体を創出することを企てた。すなわち、フェノール性ヒドロキシ基を有するアンフェタミン(AP)とメタンフェタミン(MAP)の誘導体(APOHおよびMAPOH)に市販のTEOC化試薬を反応させたのち、そのヒドロキシ基に無水グルタル酸を反応させてカルボン酸誘導体に変換した。これをN-ヒドロキシスクシンイミドエステルとしたのち、ウシ血清アルブミン (BSA) を反応させて免疫原2種を得た。得られた免疫原をそれぞれA/JマウスおよびBALB/cマウス(各5匹)の背部皮下に隔週で投与し、4回目の免疫後に試験採血を行い、その血清中の抗体価をELISAによって評価した。すなわち、ストレプトアビジンを固定化したマイクロプレートにAPOHまたはMAPOHのTEOC体をビオチンと共に結合させたポリ-L-リシン、次いで希釈した血清を加えて順次インキュベーションし、さらにペルオキシダーゼ標識抗マウス抗体を反応させて、固相上の酵素活性を吸光光度法により測定した。特に良好な抗体の産生が認められたマウスに最終免疫を行い、その3日後に脾臓を摘出し、得られた脾細胞とNS1ミエローマ細胞とをポリエチレングリコールを用いて融合させた。HAT培地で約1週間選択培養し、その上清を上記ELISAに付したところ、多数の抗体産生ハイブリドーマの生成が認められたが、限界希釈法によるクローニングを経て最終的にTEOC化APOHについて15種、TEOC化MAPOHについて5種の抗体産生細胞株を樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度の計画として挙げていた免疫原の合成を行った。すなわち、フェノール性ヒドロキシ基を有するアンフェタミン(AP)とメタンフェタミン(MAP)の誘導体(APOHおよびMAPOH)に市販のTEOC化試薬を反応させたのち、そのヒドロキシ基に無水グルタル酸を反応させてカルボン酸誘導体に変換した。これをN-ヒドロキシスクシンイミドエステルとしたのち、ウシ血清アルブミン (BSA) を反応させて免疫原(ハプテン-キャリヤー結合体)を予定通り得ることができた。 得られた免疫原をそれぞれA/JマウスおよびBALB/cマウス(各5匹)に免疫したところ、すべてのマウスで期待した免疫応答が認められた。特に良好な抗体の産生が認められたマウスの脾細胞とNS1ミエローマ細胞とを融合させてHAT培地で選択培養し、限界希釈法によるクローニングを経て最終的にTEOC化APOHについて15種、TEOC化MAPOHについて5種の抗体産生細胞株を樹立するに至った。 以上のように、1年目はほぼ期待通りの成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立したモノクローナル抗体の結合能を評価するためのELISA系を確立する。このアッセイ系によりTEOC化APまたはTEOC化MAPに対する親和力や特異性を評価して、最良の抗体種を特定する。その一方で実試料中のAP、MAPをTEOC化する反応条件 (溶媒とそのpH、温度など) を詳細に検討し、イムノクロマトグラフィー(ICG)やQ-bodyによる検出に供する試料を得るうえでの最適条件 (各分析法の定量限界を十分に上回る量のTEOC化体を最短時間で与える条件になる) を確定する。 最良のモノクローナル抗体を用いて、ICG の確立をめざす。まず、得られた抗体で金コロイド粒子をコートして標識抗体を調製し、ICG用セルロース膜上のコンジュゲートパッド内に装備する。その一方で、テストライン上に、TEOC化APOHまたはTEOC化MAPOHのBSA結合体を固定化する。コントロールライン上には、標識抗体の捕捉が可能な第2抗体を固定化する。サンプルパッドに測定抗原の溶液 (事前にTEOC化反応を施したAPまたはMAPを含む) を点着すると、毛細管現象により浸透し、コンジュゲートパッド内で抗原と標識抗体の複合体が形成される。その後、テストライン上で未反応の標識抗体が捕捉され、金コロイド量が赤紫色のバンドとして可視化される。固相の競合型イムノアッセイなので、抗原量が多いほどバンドの呈色は薄くなる。さらに浸透が進むと、残りの標識抗体がコントロールライン上に捕捉されてコントロールラインが可視化され、分析操作が正常に進行したことが示される。
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Causes of Carryover |
ほとんどの額を使用したが、必要な試薬を購入するには足りなくなったため、 次年度に必要なものを購入し、補助金を有効活用するため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度必要な試薬を購入する
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[Journal Article] One-Shot In Vitro Evolution Generated an Antibody Fragment for Testing Urinary Cotinine with More Than 40-Fold Enhanced Affinity2017
Author(s)
H. Oyama, I. Morita, Y. Kiguchi, E. Banzono, K. Ishii, S. Kubo, Y. Watanabe, A. Hirai, C. Kaede, M. Ohta, N. Kobayashi
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Journal Title
Anal. Chem.
Volume: 89(1)
Pages: 988-995
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Effect of Heparin on Amyloid Fibril Formation of ApoA-I Fragment Peptides2016
Author(s)
Shiho Mikawa, Chiharu Mizuguchi, Izumi Morita, Hioryuki Oyama, Teruhiko Baba, Akira Shigenaga, Toshinori Shimanouchi, Norihiro Kobayashi, Akira Otaka, Kenichi Akaji, Hiroyuki Saito
Organizer
第53回ペプチド討論会
Place of Presentation
京都
Year and Date
2016-10-26 – 2016-10-28
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