2017 Fiscal Year Research-status Report
院外心停止患者の予後改善のためのバイオマーカーと高度集中治療の効果に関する研究
Project/Area Number |
16K09034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北村 哲久 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30639810)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 救急医学 / 蘇生科学 / 院外心停止 / バイオマーカー / 臨床疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者が中心となって構築している救命センター等に搬送された院外心停止患者の多施設共同前向きレジストリを用いて、『院外心停止患者の救命率改善のための治療戦略として、心停止患者のバイオマーカーの測定評価ならび高度集中治療の有効性の検証』することを目的とする。研究2年目となる平成29年度には、研究代表者ならびに研究協力者は、平成24年(2012年)7月~平成25年(2014年)12月までの2年半の期間の5,071件のデータセットを構築・解析をした。 このデータを用いて、病院搬送後に院内で蘇生行為が実施され、自己心拍再開が得られた1269症例ならびに体温管理療法を施行された327症例を対象に、病院到着時のアルブミン測定値と院外心停止後の社会復帰割合との関係を評価した。アルブミン値が最も低い群と比較し、アルブミン値が最も高い群の院外心停止発生30日後の社会復帰割合は、自己心拍再開症例において5.3倍、体温管理療法症例において10.4倍高いことを明らかにした。また自己心拍再開を得てかつ血液ガスデータが測定された844症例において、300mmHg以下の低酸素分圧グループにおける心停止発生1か月後生存割合31%に対して、高酸素分圧300mmHgのグループのそれは45%と有意に高い(調整オッズ比1.7)一方で、300mmHg以上の暴露時間が長いほど、その1か月生存割合は低下した。 研究はおおむね順調に進んでおり、上述のアルブミンに関する研究は2報を論文化した。さらに平成30年度(2018年)中に、2012年7月~2015年12月までの約7000件超のデータセットが使用可能となる。上記の解析について論文化を進めるとともに、その他のバイオマーカーや、もう一つの課題である病院搬送後の院外心停止患者に対する高度集中治療の有効性についての詳細な解析を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目となる平成29年度において、研究代表者ならびに研究協力者は、平成24年(2012年)7月~平成26年(2014年)12月までの2年半の期間の、大阪府下の救命センターを中心に集積された院外心停止症例の病院搬送後データクリーニングを実施し、消防庁から提供された病院前救護記録と結合させた5,071件のデータセットを構築した。 このデータを用いて、病院搬送後に院内で蘇生行為が実施され、自己心拍再開が得られた1269症例ならびに体温管理療法を施行された327症例を対象に、病院到着時のアルブミン測定値と院外心停止後の社会復帰割合との関係を評価した。アルブミン値が最も低い群と比較し、アルブミン値が最も高い群の院外心停止発生30日後の社会復帰割合は、自己心拍再開症例において5.3倍、体温管理療法症例において10.4倍高いことを明らかにした。さらに体温管理療法を施行され目標温度が明らかな363症例を34℃以下の低体温群と35℃以上の高体温群に分け、その社会復帰割合に違いがあるかを評価したところ、統計学的に有意な差は認めなかった。また自己心拍再開を得てかつ血液ガスデータが測定された844症例において、300mmHg以下の低酸素分圧グループにおける心停止発生1か月後生存割合31%に対して、高酸素分圧300mmHgのグループのそれは45%と有意に高い(調整オッズ比1.7)一方で、300mmHg以上の暴露時間が長いほど、その1か月生存割合は低下した。 アルブミンに関する研究は、2報をAmerican Journal of Cardiology誌ならびTherapeutic Hypothermia and Temperature Management誌 に発表した。また体温管理療法の温度別の評価ならびに動脈血酸素分圧の値と暴露時間の研究については、共同研究者が2017年11月の米国心臓学会にて発表を行った。それゆえ研究はおおむね順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
院外心停止患者の社会復帰率は数%に過ぎず、リサーチクエスチョンに基づく予後因子の探索し、結果を世に発表するためにはより多くの症例を集積することが最も重要である。平成30年4月現在、平成27年(2015年)に発生した大阪府下の救命救急センターからの約2000件のデータは既に集積済みであり、消防庁から2015年の院外心停止患者の病院前救護情報も取得した。本年度中に、これらのデータのクリーニングならびにこれらのデータ結合を実施し、2012年7月から2015年12月までの約7000件超のデータセットの構築を行う。研究代表者はこのデータを用いて、上述の体温管理療法の温度別の評価ならびに動脈血酸素分圧の値と暴露時間の研究について再解析を実施した上で論文化する予定である。くわえて、その他のバイオマーカーと院外心停止患者の予後との関係についての探索的評価も行う。もう一つの課題である圧循環補助装置や体外循環式心肺蘇生法などの高度集中治療の有効性についてのデータ解析も解析予定である。 大阪府下の救命救急センターで始まったこの院外心停止患者登録は、平成26年(2014年)6月から日本救急医学会による学会ベースのレジストリに拡大し、全国規模のレジストリとしての2014年症例として約3800症件が分析可能となっている。本年度は2015年症例を含めて約12000症例が解析可能となる予定である。日本救急医学会とも連携を図りながら、様々なリサーチクエスチョンに対して多面的なアプローチも行う。その一方で、病院前救護における院外心停止患者の予後に関連する因子(場所・救急隊2次救命処置等)についてもいくつかの研究課題があり、これら研究課題についても集積されたデータ解析、論文化を進めて行く。研究成果の発信方法としては、英語原著論文、国内ならびに国際学会での発表を予定している。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Characteristics and outcomes of out-of-hospital cardiac arrest occurring while in a motor vehicle2018
Author(s)
Sado J, Kiyohara K, Hayashida S, Matsuyama T, Katayama Y, Hirose T, Kiguchi T, Nishiyama C, Iwami T, Kitamura Y, Sobue T, Kitamura T
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Journal Title
The American Journal of Cardiology
Volume: E-pub ahead of print
Pages: 1-6
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Prognostic impact of serum albumin concentration for neurologically favorable outcome in patients treated with target temperature management after out-of-hospital cardiac arrest: a multicenter prospective study2018
Author(s)
Matsuyama T, Iwami T, Yamada T, Hayakawa K, Yoshiya K, Irisawa T, Abe Y, Nishimura T, Uejima T, Ohishi Y, Kiguchi T, Kishi M, Kishimoto M, Nakao S, Hayashi Y, Sogabe T, Morooka T, Izawa J, Shimamoto T, Hatakeyama T, Fujii T, Sado J, Kawamura T, Shimazu T, Kitamura T
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Journal Title
Therapeutic Hypothermia and Temperature Management
Volume: E-pub ahead of print
Pages: 1-6
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Effect of serum albumin concentration on favorable neurological outcome after out-of-hospital cardiac arrest (From the CRITICAL Study in Osaka, Japan)2018
Author(s)
Matsuyama T, Iwami T, Yamada T, Hayakawa K, Yoshiya K, Irisawa T, Abe Y, Nishimura T, Uejima T, Ohishi Y, Kiguchi T, Kishi M, Kishimoto M, Nakao S, Hayashi Y, Sogabe T, Morooka T, Izawa J, Shimamoto T, Hatakeyama T, Fujii T, Sado J, Shimazu T, Kawamura T, Kitamura T
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Journal Title
The American Journal of Cardiology
Volume: 121(2)
Pages: 156-161
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Out-of-hospital cardiac arrests during exercise among urban inhabitants in Japan: insights from a population-based registry of Osaka City2017
Author(s)
Kiyohara K, Sado J, Matsuyama T, Nishiyama C, Kobayashi D, Kiguchi T, Hayashida S, Kitamura Y, Nakata K, Sobue T, Iwami T, Kitamura T
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Journal Title
Resuscitation
Volume: 117(8)
Pages: 14-17
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] The relationship between the targeted temperature of TTM and neurological outcome, the CRITICAL Study in Osaka, Japan2017
Author(s)
Irisawa T, Matsuyama T, Kiguchi T, Kitamura T, Yoshiya K, Iwami T, Kawamura T, Shimazu T
Organizer
Resuscitation Symposium, American Heart Association Scientific Sessions 2017
Int'l Joint Research