2016 Fiscal Year Research-status Report
血清中有機フッ素化合物濃度と乳がんリスクの関連:日本人女性における症例対照研究
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16K09040
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
伊藤 弘明 順天堂大学, 医学部, 助教 (30502257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 基 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 部長 (60392338)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フッ素系界面活性剤 / フッ素化アルキル化合物 / PFOS / PFOA / 残留性有機汚染物質 / 環境疫学 / 曝露 / 健康リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
3年計画の1年目である平成28年度は、研究計画通りに有機フッ素化合物分析の条件検討から着手した。ペルフルオロオクタン酸(PFOA)等のカルボン酸系の有機フッ素化合物はガスクロマトグラフ質量分析計でも測定可能だが、本研究ではカルボン酸系物質6物質に加えペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等のスルホン酸系の有機フッ素化合物2物質も測定する予定であるため、それらを一斉分析可能な液体クロマトグラフ・タンデム質量分析計(LC-MS/MS)を採用することとした。所属研究室にLC-MS/MSがないため装置の新規導入申請や学外との共同研究、外部委託を含め様々な可能性を検討したが、最終的に学内の他研究室にある共用機器のトリプル四重極LC-MS/MSを利用して予算内で測定できることになり、協力を得て条件検討を開始した。標準液を用いての選択反応検出法での検討では、測定対象の8物質はクロマトグラム上で時間的にも分離され、ピーク形状および内部標準法による検量線の直線性は良好であった。分析装置によっては、機器の部品から対象物質が溶出するものがありバックグラウンドレベルが高くなる例が報告されていたが、本研究で使用する装置ではそのような妨害はなく、その点に関しては良好な条件で測定できることがわかった。前処理方法としては、当初は従来の固相抽出カートリッジを用いた方法を予定していたが、文献的検討および他大学の研究者の助言を踏まえ、近年新しく導入されている分散固相抽出(dispersive SPE、QuEChERS)法を採用する方向で検討している。これにより多検体の分析を迅速に行うことができる。初年度には分析条件を確立する予定であったが、2年目も最初は継続して条件検討を行う。対象物質の安定同位元素標識体も購入済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共用機器の利用状況が混雑しており、順番待ちのため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って実施する。血清中有機フッ素化合物濃度測定条件を検討・確立した上で、症例群・対照群の血清中有機フッ素化合物濃度を測定し、血清中有機フッ素化合物濃度と乳がんリスクの関連を統計学的に解析する。慎重に検討を行って、本研究の結果を取りまとめるとともに、学会・学術誌等における公表を行う。
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Causes of Carryover |
初年度に分析条件検討が進んだ場合、実検体測定を開始する可能性があったため、それに備えて初年度にも相応の額を計上していたが、実際には実検体測定は次年度以降となったため、次年度以降に使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
血清中有機フッ素化合物濃度の測定に必要な消耗品および学内の共用機器であるトリプル四重極LC-MS/MSの利用(有料)に支出する。
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