2016 Fiscal Year Research-status Report
化学物質に対する非特異的な過敏状態の解明とその改善方法に関する研究
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16K09116
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Research Institution | Louis Pasteur Center for Medical Research |
Principal Investigator |
内山 巌雄 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター, その他部局等, 研究員(移行) (20151897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 真理 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター, その他部局等, 研究員(移行) (50291018)
東 賢一 近畿大学, 医学部, 准教授 (80469246)
東 実千代 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10314527)
萬羽 郁子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (20465470)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 化学物質過敏症 / 臭い / 脳血流 / 酸素 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学物質過敏症は、その疾患概念や診断指針、症状等の改善方法が明確でなく病態も未解明な部分が多い。本研究では、臭い負荷時における、特に末梢組織における酸素の取り込み状態や自律神経系の動きに着目し、脳血流変化等との関係をより明確化し、化学物質過敏症が多様な全身症状を呈する作用機序を解明し、サプリメントや運動療法等による酸素状態や過敏状態の改善効果を客観的に検証する。 平成28年度は、研究組織における研究倫理審査で承認を得たうえで、介入を実施する前のベースライン調査を実施した。本調査では、財団法人ルイ・パストゥール医学研究センターに隣接する医療法人社団医聖会百万遍クリニックの外来患者から患者群10名、性別と年齢を患者群と一致させた健常者群9名をモニター会社からリクルートし、嗅覚負荷検査を実施した。本実験では、化学物質過敏症有訴者と健常者に対して、においスティック(第一薬品産業株式会社製)による臭い負荷を行い、負荷時および負荷前後の前頭前皮質の脳血流状態(OxyHb、DeoxHb、TotalHb)を近赤外光脳機能イメージング装置(株式会社島津製作所社製LABNIRS)で計測した。また上記検査と同時に末梢動脈血酸素飽和度、自律神経状態をモニタリングして計画通りの計測データを得た。実験にあたっては、検査前の嗅覚検査、問診、一般生化学検査等を行った。これらのデータから、解析時には必要に応じて対象者を除外する。また、環境過敏、自律神経系の知覚、感情や不安、ストレス、ライフイベント等に関して質問紙による生活・心理調査を実施した。このデータを用いて脳機能への影響や化学物質過敏状態との関係を評価する予定である。実験は2月末から3月初旬にかけて完了した。現在、データ解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験に際して必要な倫理審査の承認手続きを終了し、予備実験における実験確認を踏まえて、平成28年度は19名の被験者(患者群10名、健常者群9名)にたいして介入前のベースライン調査となる嗅覚負荷実験を実施した。すべてが計画通りに順調に進んでおり、自律神経機能の評価では、詳細なデータが得られ、今後のデータ解析に期待がかかる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の検査結果のデータ解析(脳血中、自律神経、末梢血酸素飽和度、臭気や心理等の主観評価)を踏まえて、介入群と非介入群に分けて介入研究を実施する。介入では、酸素状態を改善するサプリメントや運動療法等について、平成28年度の検査結果や患者の状態を踏まえて適切に実施する。また、介入後に嗅覚負荷検査を実施し、介入による効果を評価する。
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Causes of Carryover |
業務や家庭の都合等により、嗅覚負荷試験における被験者の確保で予定数よりも若干少なかったこと、ライフスタイルや心理調査で調査票の回収に少し遅れがあったことなどから、データ整理等に関する謝金が遅れたことなどが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
被験者については、次年度もベースライン調査を継続する予定であるため、平成28年度に参加できなかった被験者および比較対象の健常者を加える予定である。ライフスタイルや心理調査票の回収は、若干年度をまたいだが順調に回収を行っており、データ整理と解析も現在進めている状況である。結果として研究計画は順調に進捗している。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Chemical Sensitivity-The Frontier of Diagnosis and Treatment2016
Author(s)
Sakabe K, Kimura M, Terayama H, Tsunoda M, Kiyajima E, Takano H, Azuma K, Mizukoshi A, Matsuda T, Mori C, Miyata M, Ishikawa S, Aizawa Y
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Journal Title
臨床環境医学
Volume: 25
Pages: 49-54
Peer Reviewed
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