2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K09182
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小林 聡幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (70296101)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 暢是 自治医科大学, 医学部, 助教 (60742864)
須田 史朗 自治医科大学, 医学部, 教授 (40432207)
塩田 勝利 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40398516)
安田 学 自治医科大学, 医学部, 助教 (40468343)
齋藤 慎之介 自治医科大学, 医学部, 講師 (40726288)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 単科精神科病院 / 終末期医療 / 死亡診断書 / 入院患者の高齢化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、単科精神科病院における終末期医療の質の向上である。わが国で精神科入院医療の大多数を担っているのは単科精神科病院であるが、入院患者の高齢化が進み、死に結びつく老年期の疾患を内科常勤医不在の施設で対応しなければならない。本研究では精神科病院でどのような疾患の患者を看取っているのかを調査する。これにより、精神科病院での終末期医療の実態を把握し、行政や学会への提言の基盤を生み出すことを目指す。 ①死亡診断書調査:栃木県精神衛生協会所属の総合病院精神科を除く22単科精神科病院、すなわち、那須高原病院、室井病院、佐藤病院、烏山台病院、氏家病院、大澤台病院、西ヶ丘病院、新直井病院、皆藤病院、県立岡本台病院、報徳会宇都宮病院、森病院、滝沢病院、鹿沼病院、菊池病院、小山富士見台病院、朝日病院、大平下病院、両毛病院、青木病院、前沢病院、足利富士見台病院に入院しており、平成8年1月1日から平成27年12月31日の間に死亡した患者を対象とする。死亡診断書から、患者の死亡時年齢、性別、死因となった疾患とその疾患を発症してから死亡するまでの期間、精神科診断名を抽出し、検討する。20病院が研究協力を承諾、19病院の調査を終えた。 ②身体疾患罹患と死亡の前方視的調査:上述の22病院において平成28年9月1日現在において3年以上入院を継続している患者の名簿を作成した。研究代表者と研究分担者が6カ月ごとに各病院を訪問し、身体疾患罹患患者と死亡患者のカルテ調査を行い、前者については患者の年齢・性別、疾患名とその転帰、精神科診断名を、後者については上述と同様に、患者の死亡時年齢、性別、死因となった疾患とその疾患を発症してから死亡するまでの期間、精神科診断名を調査する。また臨床経過を記述的に調査する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
栃木県精神衛生協会所属の単科精神科病院22病院に研究の説明と協力依頼を行った。まずは栃木県精神衛生協会の会議の際に時間を得て、会員病院の院長に研究の趣旨を説明した。重ねて文書にて趣意書を対象病院に送付し、電話にて研究への承諾の可否を問い、承諾が得られた場合は承諾書を作成してもらった。これにより20病院から協力の承諾を得た。2病院は「医局会で反対された」などの理由で承諾が得られなかった。この後、実際に調査に入り、対象各病院を訪問して1997年から2016年の20年間の死亡診断書の閲覧を行ったが、20病院中のうち2病院は死亡診断書の保管状況に問題があってデータ取得に適さないことが判明し、死亡診断書調査については対象から外すこととした。1病院は死亡診断書のみを別の綴りにまとめていなかったため、20年分の死亡診断書を取り出すことができなかった。別の1病院はかなりの規模の老人病棟を擁しており、精神科病棟の死亡診断書と老人病棟の死亡診断書が分けられていなかったため、これをすべて算入すると、単科精神科病院のデータと言い難いと思われた。残り18病院中17病院については年度内に死亡診断書調査を終了した。データの整理と解析を進めている。 身体疾患罹患と死亡の前方視的調査については調査基点の2016年9月1日時点での入院3年以上の症例リストを取得し、今後の前向き調査への準備を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
世界精神医学会(Berlin, 2017)への発表をめざしてデータの解析を進め、論文化する。部分的なデータについては日本精神神経学会(名古屋、2017)で発表する。 身体疾患罹患と死亡の前方視的調査についてはデータの収集を進めていく。
|
Causes of Carryover |
ノート型PCを1台購入したが、他は既存のPCを用いて調査を行ったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
世界精神医学会への発表の目途が立ち、また日本精神神経学会、日本総合病院精神医学会などへの発表を予定しているため、旅費に使用する予定である。
|