2017 Fiscal Year Research-status Report
死因究明に資する恒常性維持の分子メカニズム解明及び凍死診断への応用
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16K09210
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
賀川 慎一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70562213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 敬弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60617421)
山本 琢磨 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (50634458) [Withdrawn]
池松 和哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80332857)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 腸腰筋 / 恒常性維持 / 新規診断マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
凍死の診断は、特異的な所見がないため除外診断に頼らざるを得ず、凍死の確定診断は困難である。より精度の高い法医解剖鑑定を実現するためには、確定診断に有用な新規分子マーカーを同定することは重要である。そこで、本研究は、凍死経過中における生体の恒常性維持システムの分子メカニズムを解明し、多臓器で変動する複数の分子マーカーを組み合わせた新規マーカーの同定を試みた。 対象臓器として寒冷暴露時に熱産生を行う腸腰筋に着目した。軽度・中等度・重度(凍死)の低体温を伴うラットモデルを作製し、Next-generation sequencing (NGS)を用いた体温依存的遺伝子発現解析を行ったところ、他群と比較して重度低体温群のみで91のmRNAが2倍以上の発現増加を示した。これら91mRNAに対するGO解析の結果、脂質やストレス、低酸素など様々な生物学的プロセスにこれらの遺伝子が関与していることを明らかにした。qPCRによる詳細な遺伝子発現検討により、4遺伝子が重度低体温特異的に発現変化したことを明らかにした。また、免疫組織化学によりこれらの遺伝子は、体温低下に伴い、激しいふるえ熱産生を行う腸腰筋の組織修復や炎症、再生により誘導されたことが示唆された。同様に熱産生に関与する褐色脂肪組織においても複数の遺伝子が重度低体温特異的な発現変化を示したことを明らかにした。今後、これら複数臓器における遺伝子発現を組み合わせた、凍死の法医分子病理学的診断法を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物レベルでの一臓器における診断マーカー候補の同定に成功したが、他臓器における解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、他臓器における診断マーカー候補の同定をNGSを用いて行い、それらの検証をqPCR等の分子生物学的手法を用いて検討する。
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Research Products
(2 results)