2016 Fiscal Year Research-status Report
Vγ1Vδ1型γδT細胞活性化生薬成分の同定:新たなHIV制御法開発に向けて
Project/Area Number |
16K09262
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
高橋 秀実 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (40221361)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗HIV薬 / 粘膜内HIV / NKT細胞 / Vγ1Vδ1型T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、報告者高橋の末梢血単核球より得たγδ型T細胞にHerpes Saimiriを感染させ不死化させ、その中から限界希釈法を用いてVγ1Vδ1型TCRを発現したT細胞株クローン3-DよりVγ1及びVδ1のTCR遺伝子を採取し、TCR欠損株であるJ.RT3-T3.5に遺伝子導入しVγ1Vδ1型γδT細胞株(1C116)を樹立した。これと同様の手法を用いて、高橋末梢血より得たVγ2Vδ2型T細胞株由来、Vγ2及びVδ2のTCR遺伝子を採取し、J.RT3-T3.5に遺伝子導入しVγ2Vδ2型γδT細胞株(2C21)を樹立した。まず、これらの樹立株1C116及び2C21が、抗CD3抗体を用いてTCRをcross-linkさせるとIL-2を放出することを確認し、これらのγδ型T細胞が特異抗原刺激に伴いIL-2を放出することを確認した。そして、2C21がアルキルアミンであるiso-butylamineに応答するTCRを発現していることを確認後、これまでに報告された他のVγ2Vδ2型TCR刺激活性化物質である結核菌由来のピロリン酸(IPP)、methylamineやethylamine (Immunity, 11:57-65, 1999)、さらにはお茶由来のテアニン(PNAS, 100:6009-6014, 2003)、アミノビスフォスフォネート製剤 (Blood, 5:1616-1618, 2001)に応答することを検討した。一方、Vγ1Vδ1型TCRを発現した1C116株はこれらの抗原に全く応答しないことを確認後、天然生薬成分の中から煎じ薬(熱水抽出法)に含まれると推測される成分群であるフラボノイド、テルペノイド、アルカロイド等に着目し、それらとの共培養により1C116 からIL-2の分泌が刺激されるかを指標として刺激物質を探ったところ、応答性を有する物質が同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Vγ1Vδ1型γδT細胞株を活性化するような生薬中の成分を同定するため、これまで申請者高橋の末梢血単核球より得たγδ型T細胞を不死化させた細胞株群を作成し、その中から限界希釈法を用いてVγ1Vδ1型TCRを発現したT細胞株クローンよりVγ1及びVδ1のTCR遺伝子を採取し、TCR欠損株であるJ.RT3-T3.5に遺伝子導入しVγ1Vδ1型γδT細胞株(1C116)の樹立に成功した。これと全く同様の手法を用いて、末梢血より樹立したVγ2Vδ2型T細胞株よりVγ2及びVδ2のTCR遺伝子を採取し、J.RT3-T3.5に遺伝子導入しVγ2Vδ2型γδT細胞株(2C21)を樹立した。これらの樹立株1C116及び2C21が、抗CD3抗体を用いてTCRをcross-linkさせるとIL-2を放出することを確認した後、特異抗原刺激に伴いIL-2を放出することを確認した。このクローン2C21がアルキルアミンであるiso-butylamineに応答するTCRを発現していることを確認後、これまでに報告された他のVγ2Vδ2型TCR刺激活性化物質である結核菌由来のピロリン酸(IPP)、methylamineやethylamine、さらにはお茶由来のテアニン、アミノビスフォスフォネート製剤等 に応答することを検討・確認した。Vγ1Vδ1型TCRを発現した1C116株はこれらの抗原に全く応答しないことを確認後、天然生薬成分の中から煎じ薬(熱水抽出法)に含まれると推測される成分群であるフラボノイド、テルペノイド、アルカロイド等に着目し、それらとの共培養により1C116 からIL-2の分泌が刺激されるかを指標として刺激物質を探った結果、その中より特異的な応答性を有する物質が数個同定された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、Vγ1Vδ1型γδT細胞株を活性化するような生薬中の成分を同定するため、Vγ1Vδ1型TCRを発現した1C116株に天然生薬成分のに含まれると推測される成分群であるフラボノイド、テルペノイド、アルカロイド等との共培養により同定された特異的な応答性を有する物質が数個同定された。本年度は、この同定物質で末梢血より採取したVγ1Vδ1型γδT細胞を添加刺激することによって、増殖活性化しサイトカインを放出するようになったT細胞株を用い、まず刺激によってどのようなサイトカインを放出するかを検討する。そして、刺激後の培養上清を採取保存し、それをR5型HIV-1に感染したCD4陽性NKT細胞に添加することによって、HIV-1の増殖が抑えれる否かをHIV-1.P24タンパク質を指標として追跡する。次に、本研究によって同定された物質によってヒト体内末梢血におけるVγ1Vδ1型T細胞が選択的に活性化されるか否かを、申請者高橋を含め、数名の健常人の末梢血ををに添加し、その増殖反応ならびに培養上清中の各種サイトカインの量を追跡し、同定した物質が広くVγ1Vδ1型γδT細胞の活性化能を有するか否かを検討する。また活性化に伴い放出された物質が、多数のヒトにおいて抗HIV-1効果を示すかを検討する。また一方において、R5型HIV-1に感染したCD4陽性NKT細胞と高橋の末梢血に同定した物質を添加培養することによって、P24抗原の放出が抑制されるか否かに付いても検討する。以上の結果をもとに、同定した生薬由来物質が、多数のヒトに関しても同様の抗HIV効果を示すことを確認する。以上の成果をもとに、本研究成果を示した論文作成、ならびに同定した生薬由来及びVγ1Vδ1型T細胞活性化に関する特許の申請に取り組む。
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Causes of Carryover |
購入予定であったものがあったが、購入せずとも研究の進展が可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の予算に加え、多数の抗体試薬や培養器具を購入する予定。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Detection Method for Aquatic Bacteria of the Fingers, as a Potential Origin of the Aqueous Solution Contamination2017
Author(s)
Osono, E. Honda, K. Inoue, Y. Norose, Y. Takahashi, M. Ichimura, K. Kamano, C. Shinya, E. Takaku, S. Okamatsu, K. Kawamoto, S. Takizawa, H. Takahashi, H.
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Journal Title
Biocontrol Sci
Volume: 22
Pages: 61-65
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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