2017 Fiscal Year Research-status Report
mRNAプロセシングを介したがんのヘテロジェナイティの新規メカニズムの解明
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16K09314
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西田 憲生 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (10624033)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘテロジェナイティ / 上皮間葉移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸がん細胞株HCT116細胞の培養細胞集団より、遊走能形質の異なる二つの細胞集団を樹立した。これらの細胞集団に関して、網羅的遺伝子発現解析ならびに、網羅的DNAメチル化解析を行った。その結果、シグナルパスウェイ解析により、2群の細胞間で、上皮間葉形質に関わる遺伝子発現変化パターンを認め、細胞運動能の機能に関わる遺伝子群が有意に変化していた。これらの細胞の形質獲得過程を明らかにするために、エピジェネティクの要因検索のために、DNAメチル化アレイならびにマイクロRNAアレイの解析を実施した。 その結果、形質の異なる2つの細胞集団間でDNAメチル化により遺伝子発現が有意に変化する遺伝子を75遺伝子同定した。これらには、がん細胞の遊走能に関わる遺伝子が統計学的に有意に含まれていていた。さらに、遊走能獲得過程において、単一遺伝子のプロモーター領域において複数のDNAメチル化変化を認めた遺伝子Aについて、パイロシークエンス法においてDNAメチル化を評価した。この遺伝子Aは、遊走能形質の獲得に関与することをタンパク質過剰発現、およびsiRNAを用いたノックダウンにより明らかにした。これらのデータをまとめ、現在論文作成中である。また、遊走の獲得過程において、マイクロRNAクラスターBに属する複数のマイクロRNAの発現が高くなっていることを確認した。これまでのところ、これらのマイクロRNAの共通のターゲットとなる遺伝子Bの同定まで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同じ遺伝的背景を持つ細胞集団から形質のことなる細胞集団を作製することに成功し、これまでに遺伝子発現、DNAメチル化パターン、microRNA発現パターンの変化について解析を行ってきた。これらの項目中については、今年度中に論文発表の予定である。当初の予定であるmRNAプロセシング過程の選択的ポリアデニレーション解析が終了していないため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した二つの細胞集団の形質獲得におけるRNAプロセシング調節機構を明らかにするために、選択的スプライシングならびに選択的ポリアデニレーションについて、解析を行う予定である。選択的スプライシングについては、Exon Array解析を実施し、選択的ポリアデニレーションについては、RNA-seqを用いて検討を行う予定である。さらに、遊走能獲得の細胞集団のin vivoにおける細胞増殖、転移能の評価のために、ヌードマウスを用いた細胞移植実験を予定している。さらに、転移した細胞と移植元の細胞集団における選択的スプライシングや選択的ポリアデニレーションの比較を実施して、in vivoでの形質獲得過程におけるmRNAプロセシング調節機構の役割を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)