2016 Fiscal Year Research-status Report
γ-アミノ酪酸(GABA)による水利尿と腎保護の新しいメカニズムの解明
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16K09658
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
谷田部 淳一 東京女子医科大学, 医学部, 准講師 (10566681)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高血圧症 / GABA / リジン |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】γ-アミノ酪酸(GABA)による水利尿の作用機序は不明であった。GABAB受容体はGi/oと共役する7回膜貫通型受容体であり、Gsと共役するバゾプレッシン(AVP)V2受容体(V2R)の機能に拮抗する可能性を検討した。【方法】ラット腎組織とアクアポリン2(AQP2)安定発現MDCK細胞を用いた。RT-PCR、Western blot、免疫染色法を実施した。cAMPはHTRF法にて定量した。【結果】腎組織とMDCK細胞には、GABABR1・R2サブユニットmRNAが発現していた。集合管主細胞に、GABABR2とAQP2の共発現像が見られた。MDCK細胞をAVPやforskolinで刺激した際に上昇する細胞内cAMP濃度は、GABAやGABAB受容体の特異的アゴニストであるbaclofenによる前処置にて有意に抑制された。AVPはAQP2のリン酸化を時間依存的、用量依存的に惹起したが、baclofenはそのリン酸化を有意に抑制した。【結論】これらの結果から、GABAB受容体刺激は、集合管におけるcAMPの産生を低下させ、引き続くAQP2の活性化を抑制した。GABAによる水利尿のメカニズムは、AQP2の機能調節を介するものと示唆される。またV2Rの機能異常から引き起こされる病態に対して、腎GABA系は望ましい効果を持つ可能性がある。GABAによる利尿作用の詳細が明らかとなれば、尿酸上昇などの副作用が少ない新しい降圧利尿薬の開発を促す可能性もある。GRK4などGABA受容体の機能を調節する分子の遺伝子多型とAQP2の関与が明らかになれば、高血圧症の個別化医療を実現するために重要な知見を与えることになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MDCK細胞とNRK-52E細胞に発現するGABAB受容体の構成と機能を検討することができた。しかし、GABA産生にかかるプトレシン経路の役割を確かめる必要があり、次年度以降の課題とした。
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Strategy for Future Research Activity |
GABAB受容体とAVP受容体のクロストークを証明する。 集合管におけるGABAB受容体の機能調節に与えるGRK4の影響を明らかにする。 GABAA受容体刺激が細胞保護効果を示すかどうかを確かめる。
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Causes of Carryover |
既存の実験系を活用して結果を出すことができたため、使用額が少なくなった。また、当該年度は学会発表を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子導入を頻繁に行う実験を計画しているため、使用額が増えるものと考えられる。
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