2017 Fiscal Year Research-status Report
シュワン細胞の神経終末誘引・保護作用の糖尿病多発神経障害に対する有益性の検討
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16K09768
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
中村 二郎 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40283444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 宏一 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (40319322)
姫野 龍仁 愛知医科大学, 医学部, 助教 (60753762)
神谷 英紀 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (70542679)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病性多発神経障害 / 皮膚線維芽細胞 / 3次元凝集化多能性幹細胞 / シュワン細胞 / 細胞移植療法 / サイトカイン産生 / NGF |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、マウス皮膚初代培養細胞の3次元凝集化多能性幹細胞を作製し、誘導した神経前駆細胞(sDSC-derived Neural Crest like cells:sDSC-NCs)をマウス下肢に移植することで、糖尿病性多発神経障害(DPN)改善効果があることを報告してきた。同様に血管内皮前駆細胞、骨髄単核球、間葉系幹細胞を用いたDPN細胞移植療法で、移植細胞由来のサイトカインが障害された神経修復すると報告している。いずれもヒトでの臨床応用に至っておらず、その理由の一つに修復メカニズムに不明点が多いことが考えられる。末梢神経においては、シュワン細胞が神経修復の役割を果たしている可能性がある。 今回、sDSC-NC移植療法のDPNに対する有効性を、移植シュワン細胞由来サイトカイン産生から検討した。1)5週齢雄性EGFP-C57BL/6Jより皮膚線維芽細胞を初代培養・3次元球状凝集化し、sDSCを作製。Sox2発現かつNestin陽性神経前駆細胞(sDSC-NC)を誘導。2)8週齢C57BL/6Jを用い、STZ糖尿病マウスを作成。3)STZ投与3カ月後、糖尿病マウスと正常マウスの片側下肢筋に1)で得られたsDSC-NCsを各肢3×104 cellsを移植し、対側には生食を投与。4)治療前および治療4週後にThermal Planter testおよび下肢神経伝導速度検査を施行。5)移植治療4週後、下肢組織における移植細胞の生着確認し、免疫組織学的解析、ならびにRT-PCRにて非移植組織と移植組織の各サイトカインmRNA発現を定量。【結果】1)移植後4週後において下肢組織に多数のGFP陽性細胞(sDSC-NC)の生着確認。2)糖尿病状態では温覚機能及び神経伝導速度が低下、sDSC-NC移植はこの低下を有意に改善。3)移植細胞生着組織にNGFとPGES1 mRNA発現上昇した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養幹細胞の分化誘導が十分に神経分化されておらず、シュワン細胞に分化できる細胞数が少ない。細胞数が少ないまま、3次元凝集幹細胞を移植しても移植部位でシュワン細胞として生着せず、血管周皮細胞や血管内皮前駆細胞にしか分化せず、十分な神経修復効果を発揮できない。 また、移植部位(下肢筋組織内)からGFP標識細胞が拡散、組織化してしまうことで、移植後の細胞を追跡することが困難となっている。そのため、移植部位からのNGF等のサイトカイン産生効果も確実なものではなくなっている。 以上の点で研究成果の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
シュワン細胞への分化誘導効率は、できるだけ皮膚組織幹細胞を脱分化させられるかに集約される。現在の培養方法では、細胞に十分な酸素化が行われず幹細胞の一部は培養過程で失われている。これらの点から培養システムを一部変更することにより幹細胞の効率よい3次元培養法を開発する。ここでは述べないが、既にいくつかの改良を検討している。 次に、移植細胞の追跡であるが、移植部位の問題が大きい。神経障害治療のためにシュワン細胞を損傷神経周囲に生着させることが必要と考えている。臨床応用に向けて、満遍なく下肢筋組織内移植を行っているが、この方法は神経障害の治療ターゲットと異なる部位を再生させている可能性が高い。再度マウスの神経走行を確認し最も効率的に神経近傍に細胞生着させることができるかを検討する。末梢神経組織を損傷せずに移植する技術も必要となるが、末梢神経治療の細胞移植のモデルを確立したい。 最後に、移植細胞が拡散せずに末梢神経に生着しサイトカイン産生することにより、その移植治療効果は十分に発揮され末梢神経再生の有用性を証明できる可能性がある。
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Research Products
(2 results)