2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of new self-defense mechanism with innate immunity and glucocorticoid metabolizing enzyme
Project/Area Number |
16K09792
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋 秀二 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員研究員 (50737872)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グルココルチコイドホルモン / インフルエンザウイルス / 自然免疫 / RIG-I / 11b-HSD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、インフルエンザウイルス(Flu)感染初期に作動する自然免疫RIG-Iと細胞内グルココルチコイドホルモン(GC)による生体防御機構を検討した。自然免疫RIG-Iが細胞内GC代謝酵素11b-HSD1/2を介してGC受容体(GR)を選択的に用いて炎症制御を行っていることを見出した。 自然免疫RIG-Iは、Flu感染後インターフェロン(IFNb)などのサイトカインを産生し、抗ウイルス作用を発揮する。しかし過剰なサイトカインの産生は、サイトカインストームを誘導し、組織傷害の原因となる。GCは、過剰なサイトカイン産生を抑制する因子として重要である。本研究では、Fluが肺上皮細胞に感染すると11b-HSD1の発現が上昇し、11b-HSD2の発現が減弱する知見を得た。この11b-HSD1/2の発現変化により、不活型GCのコルチゾンは活性型GCのコルチゾールに変換され、IFNbが抑制制御される事を見出した。 この炎症制御機構は、GR依存的でRIG-Iシグナル選択的であることが明らかになった。RIG-Iが作動するFlu感染初期には、核内GC誘導遺伝子が抑制される。本研究では、GCの核内移行はFluウイルス増殖を促し、生体に不利に働くことが示された。つまりRIG-IはGRをテザリングし、選択的にIFNbを抑制しながら(サイトカインストームのブレーキ)、同時にGRの核内移行を阻害し、生体防御に働く作用を持つ(抗ウイルス作用)。 さらにGRがRIG-Iを自律的に制御する知見を得た。Flu感染後、GR阻害剤RU486を投与すると、IFNbが過剰産生される。この事はGRが自律的にIFNbを抑制制御し、11b-HSD1/2と協調して働く、新たな炎症制御機構の存在を示している。今後さらなる検討により、自然免疫と細胞内GC代謝が生体防御に関与するシステムの存在がさらに明らかになると思われる。
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