2018 Fiscal Year Research-status Report
骨髄機能不全症候群の白血病化関連遺伝子検索とその病態寄与の解明
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16K10013
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三井 哲夫 山形大学, 医学部, 教授 (30270846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早坂 清 山形大学, 医学部, 名誉教授 (20142961)
簡野 美弥子 山形大学, 医学部, 助教 (40400551)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 先天性好中球減少症 / CSF3R / G-CSF受容体 / 切断型遺伝子異常 / 白血病化 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性好中球減少症患者のG-CSF (CSF3)受容体切断型遺伝子異常出現の前方視的解析を引き続き行っているが、本年度は新規症例を得る事はできなかった。昨年度解析を試みていたstop codonのhot spotであるCSF3R 731番目のGlnの部位にSanger法の泳動像で、stop codonにいたるTAGの波が混入している例は、臨床症状には、大きな変化は無いものの、同時期に骨髄染色体解析で、8番と21番のトリソミーのクローンの出現を観ており結果的に造血細胞移植が行なわれた。本研究前方視的検討において、G-CSF (CSF3)受容体切断型遺伝子異常と同時期に複数の遺伝子変異が起こった初めての病態悪化の実例で、731stop codonの混入の割合を検討したが、得られた検体量の問題から、十分な定量ができなかった。8番、21番のトリソミー出現とその関連性につき何らかの解析をしたいと考えている。この変異が出る以前の検体はある程度継続的に蓄積があり、今回の移植前検体から得た遺伝子において、主たる候補遺伝子をターゲットにして次世代シークエンサーを用いて網羅的に解析し、比較検討することで、引き続き解析を試みている。 他の解析継続症例は、残念ながらCSF3Rの遺伝子変異は観られずその臨床経過も大きな変化はない。G-CSF受容体刺激伝達系関連蛋白や、TP53、RAS等についても一部遺伝子解析を行ったが、特別な変化は検出できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
全国の患者検体の総数が少ない。また検体を得られても、個々の検体量がいずれも十分でない。更に臨床経過を追う中、明確に白血病化した例が今の所無く、クローン性の変化を来した例も極少数に限られているため、十分な解析機会が得られていない。病態変化のある2例について、全exome解析を行い、解析を始めたもののまだ十分に解析できてない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきたやり方では、非常に頻度の低い明らかに悪性化した患者さんに遭遇しない限りは、十分な解析ができない。このため、既に白血病化した検体を用い、その腫瘍細胞と患者さん粘膜細胞由来等の別臓器細胞のゲノムを次世代シークエンスにより、網羅的遺伝子解析をすることで、両者間の変化から白血病化に鍵となる遺伝子の変化を引き続き解析したい。 既に白血病化した骨髄機能不全患者で、生存中であり血液細胞以外の体細胞由来ゲノムを得られる患者さんについて、移植ドナーの遺伝子が相当な割合で混入するという不都合があることが確認されており、解析は困難だが、in silicoを含め exome解析を行い比較検討を試み、有意な所見を得たい。
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Causes of Carryover |
先に記載した研究進捗の遅れに伴い、十分な解析ができてないこと。また有意な異常が特定できてないことから、その遺伝子異常の機能解析に進められていないことが次年度に繰り越している要因である。 患者リクルート費用。また、これまでの主要候補遺伝子mRNAの配列決定検討に加え、臨床検体の病態変化前後における次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析にシフトすることで、結果を得たい。その為の費用。この為の通信、検体配送費、検査薬等の消耗品費。また、候補遺伝子が見つかった場合、実験動物への遺伝子導入とその維持費、および解析に伴う費用等として使わせていただく。
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