2017 Fiscal Year Research-status Report
小児がんにおける抗PD1抗体の臨床応用に向けた腫瘍免疫メカニズムの解明
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16K10036
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
土屋 邦彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90381938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 創 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20238744)
家原 知子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20285266)
菊地 顕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40453104)
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572547)
宮地 充 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40584983)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 横紋筋肉腫 / PD-L1 / 免疫療法 / PAX3-FOXO1 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児がんの生存率は概ね改善したものの、高リスクの小児がんは依然として予後不良である。予後の改善のために革新的な治療法の導入が必要である。免疫療法は既存の治療とは作用機序の異なる治療であり、近年、治療抵抗性の成人がんに対して抗腫瘍効果が証明され、本邦でも免疫逃避を抑制し腫瘍免疫を活性化させる抗PD-1抗体であるニボルマブが薬事承認を得るに至った。一方、小児がんにおいては、免疫療法の基礎検討は未だ少ない。我々は、本課題において、横紋筋肉腫を中心に、小児がんにおけるPD-L1を介した腫瘍免疫の免疫逃避の証明を行い、これらの基礎検討を基盤に抗PD-1抗体を小児がんにおいて臨床応用することを最終目標としている。今年度は、昨年度に証明したPAX3-FOXO1ノックダウンに伴うPD-L1遺伝子の発現誘導の低下に関与するシグナル経路の解析を行った。3細胞株(Rh3細胞株、Rh30細胞株、RM2細胞株)において、PAX3-FOXO1ノックダウンはERK1/2のリン酸化を阻害した。これらの細胞株ではMEK阻害剤であるU0126は、IFN-γによるPD-L1の発現誘導を阻害した。以上より、これらの細胞株では、PAX3-FOXO1はMAPK経路を介してPD-L1の発現を誘導していることが分かった。また、1細胞株(Rh28細胞株)において、PAX3-FOXO1ノックダウンはSTAT3のリン酸化を阻害した。これらの細胞株ではJAK阻害剤であるRuxolitinibは、IFN-γによるPD-L1の発現誘導を阻害した。以上より、Rh28細胞株では、PAX3-FOXO1はJAK/STAT経路を介してPD-L1の発現を誘導していることが分かった。これらの阻害剤は、PAX3-FOXO1陽性横紋筋肉腫において、腫瘍免疫を促進する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PAX3-FOXO1遺伝子が横紋筋肉腫の腫瘍免疫逃避にどのように関わるかについて知見が集積されており、おおむね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
PAX3-FOXO1が腫瘍免疫逃避に及ぼす影響を、さらに多角的に検討するために、PAX3-FOXO1遺伝子のノックダウンにより、発現が変化する遺伝子から腫瘍免疫に関わる遺伝子の機能解析を予定する。また、制御性T細胞の分化にPAX3-FOXO1が関与するかについても検討を追加する。
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