2017 Fiscal Year Research-status Report
原子間力顕微鏡を用いた中枢肺動脈のレオロジー解析による肺高血圧症の病態解明
Project/Area Number |
16K10065
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
成田 淳 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70467562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡嶋 孝治 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (70280998)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 循環器・高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、肺高血圧症患者由来の肺動脈平滑筋細胞や肺動脈組織そのものの粘弾性(レオロジー)を定量化することで、肺高血圧症における中枢側肺動脈の病態と、肺高血圧症治療薬が中枢側肺動脈に及ぼす影響を検討することを目的としている。 これまでの成果として、健常人と肺高血圧症患者の中枢側肺動脈に由来する平滑筋細胞についてAFMを用いて細胞粘弾性の測定を行った。すると、健常者の肺血管平滑筋細胞の粘弾性は正規分布をとった一峰性の分布を示すが、患者由来平滑筋細胞の細胞粘弾性は健常人由来細胞の粘弾性に近い値を示す群と、より粘弾性の高い(硬い)群の二群に分けられることが判明した。またシルデナフィルを添加することで患者由来細胞の二群ある粘弾性分布のうち、粘弾性の高い群に属する細胞の比率が減少することが明らかとなった。さらにこの効果は、エンドセリン受容体拮抗薬など、ほかの肺血管拡張薬においても同様の特性や性質が見られることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AFMによる細胞粘弾性の測定は、順調に、安定して結果をだすことができており、また、健常者と肺高血圧症患者において、肺血管平滑筋細胞に粘弾性の違いがあることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で得られたin vitroの結果を、生体内でも確認することが必要であると考えられる。したがって、in vivoの系を用いた確認や検証を行っていく。そのため、まず、肺高血圧症モデルラットの作成を行う。これについては、既報の方法であり、我々のグループでは既に確立している。8週齢のラットにSU5416を投与し、その後低酸素環境で3週間飼育する。その後通常酸素下で2週間飼育する。これにより、肺高血圧症モデルラットを作成する。このモデルラットの肺動脈を単離し、切開して内膜面を露出させる。これを材料として、AFMでの測定を行う。内膜面は、一連の作業により、機械的に内皮細胞が剥がれて、平滑筋細胞が露出している部分がある。これは、AFMにおいて画像により確認可能であるので、その部分の測定値を抽出することで、生体内における平滑筋細胞の粘弾性を測定する。
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Causes of Carryover |
(理由) 肺高血圧症モデルラットの作成にかかる時期に若干の遅延を生じたため、動物維持費用の今年度分に軽減が生じた。 (使用計画) in vivoの系における実験をすすめるため、肺高血圧症モデルラットの作成と維持飼育に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)