身体疾患に伴ううつ病と栄養に関する観察研究および栄養サポートチームによる介入研究

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K10260
• Research Institution: Tokai University
• Principal Investigator: 山本 賢司 東海大学, 医学部, 教授 (10287071)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小澤 秀樹 東海大学, 医学部, 准教授 (90233527)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: うつ病 / 栄養 / 栄養サポートチーム

Outline of Annual Research Achievements

本研究は観察研究（横断研究）と介入研究（ランダム化比較試験）から構成される。観察研究は総合内科病棟に入院した患者を対象とし、抑うつ症状の評価を質問紙・面接にて行い、並行して主観的包括的評価法による栄養評価、身体計測、血液検査（一般生化学検査に脂肪酸,アミノ酸とタンパク質,ビタミン,無機質などを追加）を行って、抑うつ症状と栄養状態との関係を明らかにする。そして、抑うつ症状を認めた症例は精神科医と栄養サポートチームが介入して標準的な精神科治療を行い、さらに栄養状態に問題がある症例は通常栄養管理群（追加検査の結果を開示せず、現行の栄養指導と同じ）と積極栄養管理群（追加検査を開示してサプリメントによる補助も行う）へ無作為に割り付け、8週間の介入を行って2群間の抑うつ症状の変化を比較し、積極的栄養管理の抑うつ症状改善に対する効果を検討する。
平成28年度前半に本研究の倫理委員会への申請を行い、承認を得た。また、研究を実施するにあたり、対象症例の主治医となる総合内科の医師、栄養サポートチームの栄養士と打ち合わせを行い、円滑に研究が進むための具体的な流れを調整、確認した。また臨床検査部と検査の流れについても確認を行い、検体の扱いや検査結果の開示方法などについて調整を行った。そして、各病棟への研究の周知を行い、平成28年度後半より症例のエントリーを開始した。現在は、症例の蓄積を行っている段階であり、目標の症例数に達するように研究を進めている段階である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

症例登録の手続きは順調に行えている。症例の確保については、総合内科、精神科も医師の交代などがあり、数にばらつきが生じる可能性があるが、今後も定期的に各科のミーティングや、病棟におけるカンファレンスなどで研究に関する周知を行っていく予定である。平成29年度中に症例のエントリーを終了する予定であるが、目標の症例数に達しない場合は当初の予定通りそれぞれの研究の募集期間を半年間延長し、平成30年度上半期終了時点までとする（介入研究の期間は8週間なので、募集期間を延長した場合でもすべての介入が終了するのは平成30年11月となる）。

Strategy for Future Research Activity

現状で、本研究を遂行していく上で問題となるのは、症例数の確保である。症例の中には意識障害が著明であったり、研究期間中に死亡退院などにり脱落する症例もあり、十分な観察が行えない症例も存在している。従って、それらの症例の影響を見込んだうえでの十分な症例の確保を検討していく。具体的には、上述のように定期的に各科のミーティングや、病棟におけるカンファレンスなどで研究に関する周知を行っていくことであるが、それでも十分なエントリー数が確保できない場合は、総合内科の回診などに研究スタッフが同行し、症例のエントリーについて回診前後に議論するような体制を構築することを検討している。

Causes of Carryover

本研究の予算で最も大きなウエイトを占めるのは検査料であるが、平成28年度はまだ検査料が請求されておらず、次年度使用額が生じている。

Expenditure Plan for Carryover Budget

今後、検査料が徐々に請求される予定である。平成29年度は検査料、人件費ともに支出が増えることが予測されている。