2016 Fiscal Year Research-status Report
チミジンホスホリラーゼ画像化によるがんの治療効果予測:前臨床動物実験による実証
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16K10335
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
趙 松吉 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80374239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
志水 陽一 京都大学, 医学研究科, 助教 (90634212)
志賀 哲 北海道大学, 医学研究科, 准教授 (80374495)
北川 善政 北海道大学, 歯学研究科, 教授 (00224957)
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | チミジンホスホリラーゼ(TP) / ヨウ素標識IIMU / 核医学診断薬 / SPECTイメージング / 5-フルオロウラシル(5-FU) / 5-FUプロドラッグ / 抗がん剤Paclitaxel / 担癌モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは多くのがんに高く発現するチミジンホスホリラーゼ(TP)の発現量を画像化する新しい核医学診断薬として、5-[123/125I]iodo-6-[(2-iminoimidazolidinyl)methyl]uracil (IIMU)を開発し、本薬剤がTP発現量に対応して、がんに集積することを明らかにしてきた。またTPの酵素活性は抗がん剤の5-フルオロウラシル(5-FU)やそのプロドラッグの活性化にも関与していることから、TPの定量的画像化により、これらの抗がん剤を用いるがんの治療効果が予測可能と考えられる。本研究においては、このIIMUを用いるTP画像化によって、5-FUやそのプロドラッグによるがん治療の効果予測が可能なことを前臨床動物実験で実証することを目的として以下の検討を行った。 1) TP発現量の異なる多種の担癌モデル動物において、病理組織学的手法を用いて、TP発現量の評価を行った。その結果、A431腫瘍組織でTP発現レベルが最も高く、HeLaとHCT116腫瘍組織でのTP発現レベルが高かった。AZ521、FaDu、MDA-MB435S、MDA-MB231腫瘍組織でのTP発現レベルは低く、DLD-1腫瘍組織でのTP発現レベルが最も低かった。 2) TP発現レベルに及ぼす抗がん剤Paclitaxelの影響をin vitroで検討した。その結果、A431細胞におけるPaclitaxelの処置によるTP発現量には、顕著な増強が認められなかったものの、AZ521細胞においては、Paclitaxelの処置によりTP発現量が増強された。 3) 123I-IIMU標識合成条件(中和条件、塩交換条件など)の最適化検討を行なった。その結果、これまでに、中和条件、塩交換条件を含む標識合成条件、及び精製条件の設定をほぼ終了し、現在再現性の確認を行なっている。また福島県立医科大学先端臨床研究センターにおける動物用SPECTイメージング設備の確認を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) TP発現量の異なる多種の担癌モデル動物において、病理組織学的手法を用いて、TP発現量の評価を行った。 2) TP発現レベルに及ぼす抗がん剤Paclitaxelの影響をin vitroで検討した。 3) 123I-IIMU標識合成条件(中和条件、塩交換条件など)の最適化検討を行なった。 4) 福島県立医科大学先端臨床研究センターにおける動物用SPECTイメージング設備の確認を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)HeLa、HCT116がん細胞、またはFaDu、MDA-MB435S、MDA-MB231とDLD-1等TP発現量の異なる多種のがん細胞におけるTP発現量に及ぼす抗がん剤Paclitaxel等の影響をin vitroで測定すること、またこれらのがん細胞において、抗がん剤のPaclitaxel治療後、125I-IIMUの集積量を測定し、TP発現レベルと比較する。さらにこれらのがん細胞を移植した担癌モデル動物においても同様な実験を行う。 2)TP高発現および低発現担癌モデル動物に対して、SPECTイメージングによってIIMUの腫瘍集積量を評価した後、同一個体について、5-FUやCapecitabineによる治療を行い、がん縮小効果を評価し、それらに対応関係があることを実証する。 3)がん縮小効果を観察するため、腫瘍サイズを経時的に測定し、エンドポイントの時点で、腫瘍を摘出して、病理組織学的検討を行い、TP発現量と細胞増殖マーカーのKi-67、血管新生マーカーのCD31及びHE染色を行い、IIMU集積量と対比する。
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Causes of Carryover |
当初予想よりも物品購入等が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に合わせて使用予定である。
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