2016 Fiscal Year Research-status Report
肝悪性腫瘍に対するバルーン閉塞下温熱動注療法の開発
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16K10359
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山本 晃 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60419695)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝動注療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肝悪性腫瘍に対するバルーン閉塞下温熱抗癌剤動注化学療法(Baloon-occuluded thermal transarterial chemo-infusion: BT-TAI)の臨床応用にむけ、基礎実験を行う事である。肝悪性腫瘍に対する抗癌剤動注療法は、原発性肝癌に対して行われているが、奏効率は満足できるものではない。本研究では、兎単発肝細胞癌腫瘍モデルを用いて、近年臨床応用された超小型マイクロバルーンを用いた温熱抗癌剤動注療法の①安全性②直接効果判定③予後④抗腫瘍免疫の賦活について検討する。本研究で用いる機材、薬品はすべて臨床応用されているものを用いるため、有効性が証明されれば、原発性肝癌に対する有効なアプローチとして早期に臨床応用が可能となると考えられ、抗腫瘍免疫の賦活も証明されれば、転移性肝癌への適応拡大も考えられる。 本年度に関しては、モデルの安定した確立を目的とし、基礎実験を行った。兎単発肝細胞癌腫瘍モデルとして、VX2を用い、肝腫瘍を作成した。作成した肝腫瘍は耳介にて確保した静脈ルートからシングルヘリカルCTを用いた造影CTにて確認し、兎単発肝細胞癌腫瘍モデルの確立が確認できた。また、カテーテルの挿入の基礎実験を行い、肝動脈にカテーテルを挿入する実験を行った。鼠径部を切開した後、18インチマイクロガイドワイヤーを挿入し、工夫点であるマイクロパンクチャーキットを用いて外筒を挿入し、35システムから最終的には4Frのロングシースの挿入が可能であった。腹腔動脈へのカテーテル挿入の後、順次マイクロカテーテルの挿入による肝動脈造影を行うことができた。 総合的には、これらの2つの実験を同時に円滑に行うことができる機器的、手技的な準備ができ、今後の抗腫瘍効果を確認するために実験の流れを確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
途中当施設に備え付けのデジタル血管撮影装置(Digital Subtraction Angiography)の故障がおこり、血管造影を行うことが困難になった。予算確保、修理依頼を行い現在は修理できたが、実験の遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した実験手技を用いて、単発肝癌モデル兎を、造影CTにて、治療前、治療後10日にVX2腫瘍のサイズを確認する。治療は、4Frカテーテルを通して先述のマイクロバルーンカテーテルから薬剤を動脈投与(動注)する。動注はCDDP3mg/兎(3kg)を用いる。加温は湯煎し、70度に加熱した生食またはCDDP溶液を、MRT加温キットで包み、熱を下げないようにしながら、約10分間かけて動注する。兎は群分けを行い、①コントロール群・・・無治療でVX2の増大速度、担癌兎の予後を測定する ②動注群・・・CDDPを動注することにより、通常の動注の増大速度、担癌兎の予後を測定する ③生食群・・・バルーン閉塞下に、加温した生食を動注し、加温しただけの場合の増大速度、担癌兎の予後を測定する ④加温CDDP群・・・バルーン加温したCDDPを動注し、BT-TAIの増大速度、担癌兎の予後を測定する。それぞれに耳介腫瘍を確立しておき、免疫の賦活の有無を確認する。 以上の各群の差異を持って、それぞれ①安全性②直接効果判定③予後④抗腫瘍免疫の賦活 についての検討を行う。
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Causes of Carryover |
実験手技が確立でき、主たる抗腫瘍効果の実験を行う予定であったが、デジタル血管撮影装置(DSA装置:Digital Subtraction Angiography装置)の故障により、実験が遅滞した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在実験の予定として問題はなく、遅滞分を次年度に施行する予定である。
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