2016 Fiscal Year Research-status Report
低酸素環境下のがん幹細胞をターゲットとした放射線増感研究
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16K10402
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
笹井 啓資 順天堂大学, 医学部, 教授 (20225858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部 陽子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (70306968)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低酸素細胞 / DMAG / HSP90阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はHsp90阻害剤17- [2-(Dimethylamino) ethyl] amino-17-desmethoxy geldanamycin (DMAG)の低酸素細胞放射線増感効果を細胞の種類を増加させ、またタンパク発現を中心に研究を行った。とくにSulfasalazineによる増感効果の研究の予備実験として、Sulfasalazineがシスプラチンの効果を高める事が知られているヒト口腔癌由来培養細胞 HSC-2につて、DMAGの低酸素細胞増感効果を求めた。 これまでの研究でHeLa細胞およびHT1080細胞については、DMAG は常酸素細胞に対して放射線増感効果は低く、一方、低酸素細胞に対しては増感比1.3-1.7の高い増感効果を示すことを明らかにしてきた。 HSC-2を用いてコロニー法で放射線増感効果を求めたが、常酸素細胞および低酸素細胞では増感比それぞれ1.0、1.1と放射線増感効果をほとんど認めなかった。また酸素増感比も1.6と他の細胞から有意に低値を示した。Hela細胞およびHT1080細胞では100 nM DMAG24時間暴露でHIF-1アルファの有意な発現低下を認めた。現在、HSC-2細胞でHIF-1アルファの発現を検討中である。HSC-2ではCD44バリアントが発現しており、細胞外からシステインを取り込むため放射線抵抗性である可能性が示唆され、今後、検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD44バリアントの発現状態が異なる4種類の細胞、即ちHSC-2、HSC-3、HSC-4、およびOSC 19を新規に細胞バンクから購入した。平成28年度は放射線増感比を計測するため重要なコロニー法について、これらの細胞で実験の可否について検討した。このため研究計画28年度と29年度を入れ替え、Hsp90阻害剤を用いて低酸素環境におけるがん幹細胞様細胞に対する放射線増感効果を中心に行った。この研究で最も成果が期待できるCD44バリアントを発現しているHSC-2ではコロニー法で研究が可能であることが明らかになった。また成果でも示したが、HSC-2細胞には他の細胞にはない放射線感受性の特徴があり、Sulfasalazineを用いた研究に期待が持てる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度予定であったHSP90阻害剤による放射線増感効果の研究はほぼ完成したので、論文作成に入る。 コロニー法によるCD44バリアントの発現状態が異なる細胞での、放射線効果測定法に関しては技術的な目安が立ったので、今後、Sulfasalazineを用いて平成28年度の研究計画に従って研究を進める。
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Causes of Carryover |
新規に購入した培養細胞でのコロニー法の技術確立に時間を要したため、Sulfasalazineを用いた実験が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コロニー法が確立できたので、今後は予定通りの実験が可能である。
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