2016 Fiscal Year Research-status Report
磁場誘導加熱による癌の低侵襲的温熱療法に関する研究
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16K10419
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
齊藤 元 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20323149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南谷 佳弘 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30239321)
水戸部 一孝 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (60282159)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 温熱療法 / 磁性体 / 悪性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
切除不能進行癌に対しでは対症療法しか残されておらず,今後QOLを考慮したさらなる低侵襲治療が望まれる.本研究では 「43℃にキュリー点を持つ感温性磁性体を温度計測用プローブとして利用,目標温度到達を磁性体の透磁率変化として体外からモニターするワイヤレス温度計測による低侵襲な温熱療法システムの確立」を目標としている.当該研究期間では,ワイヤレス温度計測システムの精度向上を目的として,磁場検知ユニット(ポリプロピレンチューブに 1% 寒天を作成,中心に磁性体を注入,誘導加熱電源で磁界を印加,セラミック温度センサーで温度を計測)を用い,以下の成果を得た. 1)自動磁場印加システム(ON-OFF プログラム):基礎実験より,43℃に到達したときの検知コイルに誘起する電力(0.75V)を閾値と設定し,この閾値で制御コマンドを送信するプログラムを作成,金コート感温性磁性体1.0gをドライブコイルから1cmの距離に置き,温度および誘導起電力を検証した.その結果,プログラムは正常に動作し,計測から320秒で目標温度に達し,以後42.9±0.3℃の範囲を維持した.しかし,誘導加熱電源の出力電圧をON/OFF操作する制御切り替えの際に,電流が定常状態に達するまで一定時間のドリフトとノイズが発生し,電圧変化が検知しにくい問題が判明,より深部での制御にはノイズのさらなる逓減が必要と考えられた. 2)検知コイルによる磁束変化感知の最大深度: 2種類の検知コイルを用いるアナログ信号重畳ノイズ逓減法を行うことで,初期バイアスの逓減を実現でき,ドライブコイルと感温性磁性体までの距離を2cmまで伸長できた.今後この距離を延ばすためローパスフィルター導入を検討中である. 次年度は引き続き,ワイヤレス温度計測システムの精度向上をはかり,可能であれば動物実験まで発展できることを目標とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に準じ,年度内目標である自動磁場印加システム(ON-OFF プログラム)の妥当性の評価,およびワイヤレス温度計測システムにおける一定のノイズ逓減の成果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に準じ,H29年度から,さらなるワイヤレス温度計測システムの精度向上,ドライブコイルと感温性磁性体までの距離の深長と並行して,可能であれば動物実験にステップを進め,ワイヤレス温度計測による低侵襲な温熱療法システムの確立の可能性を追求したい.
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