2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of HLA class II expression in graft liver tissue; the significance of immune response in liver transplantation
Project/Area Number |
16K10424
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉澤 淳 京都大学, 医学研究科, 特別研究員 (60457984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝移植 / HLA / 移植肝組織 / 拒絶反応 / 抗体関連 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝移植後に新規に出現する抗ドナー特異的HLA抗体(DSA)は、主にHLA classⅡに反応する抗体である。小児期に肝移植を行った症例の約40%にDSAが検出され、DSA陽性症例では移植肝線維化が進行していた。HLA classⅡは主に抗原提示細胞やB細胞に発現しており、通常、肝組織にHLA classⅡは発現していないため、DSAが移植肝に作用する機序は不明であった。 本研究では、移植肝組織のHLA classⅡ発現の有無と分布を調べ、DSAと移植肝線維化との関係を検討した。 対象症例は2014年から2016年までに肝生検を行った小児肝移植症例184例を対象に検討を行った。DSAの有無と移植肝線維化の有無で層別化し、ペアマッチングした症例について検討を行った。DSA陽性症例では、肝組織HLA-DRの発現と肝線維化に相関を認めた。一方、DSA陰性症例では肝組織HLA-DRの発現は少なく、さらに、肝線維化との相関を認めなかった。血中DSAが存在して、肝組織HLA-DRの発現があることが、移植肝線維化を進行させると考えられた。 肝組織HLA-DRの発現と肝逸脱酵素の上昇に相関をみとめた。肝障害が発生した時に、組織傷害に応じてHLA-DRが発現して、HLA抗体によって抗体関連型拒絶反応が惹起され、組織傷害が進行することが推察された。 Prospectiveな検討から、相対的な免疫抑制療法の不足がDSA産生の原因であることが明らかになった。肝障害が発生し、肝組織HLA-DRの発現が生じて、DSAの産生と慢性抗体関連型拒絶反応が起き、線維化が進行することが推察されたが、本研究では肝障害時の肝組織中HLA-DRの発現の評価が十分でなかった。今後、肝障害と肝組織HLA-DRの発現の研究により肝移植後、慢性期の移植肝線維化をきたす病態の解明が明らかにされることが期待される。
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