2016 Fiscal Year Research-status Report
H.pylori感染が誘導する脱メチル化異常と染色体不安定性
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16K10515
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
斉藤 正昭 自治医科大学, 医学部, 講師 (00382911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 浩一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70332369)
力山 敏樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (80343060)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脱メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAメチル化のような遺伝子配列の変化を伴わない遺伝子修飾の異常は、発癌の背景となる慢性胃炎や潰瘍性大腸炎等の非癌部組織にも観察されるため、潜在的な癌の発生母地(field defect)を捉えるのに有効であると考えられる。今回我々は反復配列における脱メチル化異常に着目し、癌易罹患性、field defect同定への応用が可能かを検討した。またそのような遺伝子修飾異常における発癌のメカニズムを解明すべく追加実験を行った。 当施設で施行した胃癌切除症例のうち、研究への同意が得られた症例を対象とした。単発胃癌症例(GS群)と同時性多発胃癌症例(GM群)の2群に分類し検討を行った。切除検体の腫瘍近傍の非癌部粘膜を採取しDNAを抽出した。DNAはBisulfite処理を行い、定量的メチル化特異的PCR法であるMethyLight法を用いて反復配列(Satα)の相対的脱メチル化レベル(RDL)を算出した。 Satα配列においてGM群の方が、有意にRDLが高かった(P<0.001)。同時性多発胃癌症例群の平均年齢が単発胃癌症例群と比較して有意に高かったため、それぞれの年齢層でSatelliteα RDLを再度比較検討した。その結果、45歳から74歳まで年齢層ではSatelliteα RDLが単発癌症例より同時性多発胃癌症例で有意に上昇しており、統計学的な相関は認めなかったが、年齢とSatelliteα RDLが逆相関する傾向が見られた。またTP53発現型別ではTP53野生型でSatαRDLと年齢とに正相関が認められた(P=0.003)。ROC曲線ではRDLカットオフ値を0.55とした場合、多発胃癌予測能の感度86%、特異度61%、AUC 0.757であった。Satα RDLの独立性を多変量解析で評価したところ、年齢、Diffuse type胃癌、そしてSatα RDLが多発性胃癌の存在を予測する独立因子である事が分かった。(年齢オッズ比= 1.080、P = 0.008、Intestinal typeオッズ比= 9.321、P = 0.001、Satelliteα RDLオッズ比= 5.690、P = 0.008)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体を用いた検討で、H.Pylori菌感染を契機としたDNA脱メチル化異常を見いだしたことから、現在in vitroでの検討を行っている。これは、当初提唱した研究仮説を証明するためには計画的に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞株でのDNA脱メチル化異常と染色体不安定性の関連性の証明を行うために、脱メチル化アッセイにおけるライブセルイメージを初めとした染色体不安定性の解明を行う。
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Causes of Carryover |
計画的に使用額を検討しているため、その差は6392円と比較的少額になっていると思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も今年度と同様に計画的な執行を検討する。
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Research Products
(6 results)