2018 Fiscal Year Research-status Report
食道癌におけるSUMO特異的プロテアーゼの意義と発現抑制による抗癌作用の解析
Project/Area Number |
16K10517
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石橋 由朗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00246373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志田 敦男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00338906)
高田 耕司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30179452)
松本 晶 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20366272)
田中 雄二朗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90408419) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | SENP-1 / 食道癌 / SUMO-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、最近癌との関連が指摘されている SUMO 化修飾に着目し、その中でも基質(標的蛋白質)からのSUMO脱修飾に関与するSUMO特異的プロテアーゼの一つであるSUMO-specific protease 1(SENP1)の食道癌における意義を検証すること目的としている。本年度は以下の成果を認めた。 1.牛胎児血清(FCS)濃度変化の食道癌培養細胞の増殖へ影響SENP-1発現の検討:抗Anti-SENP-1抗体(EPR3844 Abcam、PA5-11327 Invitrogen)を用いて、各種食道癌培養細胞 (KYSE70(低分化型)、KYSE150(低分化型)、KYSE510(高分化型))において3種類のFCS濃度(10%、1%、0%)で10日間培養を行い、SENP-1蛋白の発現のウエスタンブロット分析を行った。すべての細胞がFCS濃度0%では増殖停止し、1%では僅かに増殖という結果であった。増殖の低下・停止に伴ってSENP-1の発現量が増加した。増殖低下・停止状態でのSENP-1発現量を細胞間で比較したところ、KYSE70が最も多く、次いで KYSE150、 KYSE510 の順であった。”僅かに増殖”と”増殖停止”の状態での発現量にはいずれの細胞も明確な差を認めなかった。 2.上記条件下での食道癌培養細胞のポリユビキチン量の検討:SUMO修飾はユビキチン修飾と拮抗してタンパク質の安定化に働くことがあるため、細胞内のポリユビキチン量とSENP-1の発現量に相関があるか検討した。上記1の9試料の細胞内ポリユビキチンの総量をサンドイッチELISAで測定し、mgタンパクあたりの量を算出して比較した。その結果、KYSE70ではSENP-1量とポリユビキチン量が多少の相関する傾向を認めたが、他の2細胞には相関は認められず,SENP-1とユビキチン修飾の関係性は低い可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の研究が当初の予定から遅れている理由は以下のものである。 ①2018年4月に研究代表者が所属機関である東京慈恵会医科大学内で外科学講座から教育センターに異動したことから 、机や物品の整理、研究室の移動等の引っ越し作業が発生したため、その間の研究活動が不能となった。 ②異動による業務内容の変更に伴い、研究分担者との研究協力体制の調整を行う必要があり、研究の遂行に遅延が発生した。 以上の理由により科研費研究期間の延長申請をさせていただいています。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、以下の予定をもって推進していく予定である。 1.siRNA による SENP-1遺伝子の発現阻害の検討 食道癌細胞株 にSENP-1遺伝子の発現阻害のために合成した siRNA を導入する。 SENP-1 遺伝子発現阻害効果をノーザンブロティング、抗 SENP-1抗体を用いたイムノブロットにて確認する。食道癌においてSENP-1遺伝子の発現阻害が抗癌作用をもたらすか抗増殖作用等の検討を行う。 2.SENP-1発現の免疫組織学的検討 食道癌手術患者の摘出標本のホルマリン固定、パラフィン包埋切片を用いて、SENP-1発現と臨床病理学的因子や予後との関連を検討し、SENP-1発現の食道癌にお ける意義を検証する。
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Causes of Carryover |
(理由)前述のごとく2018年4月に研究代表者が所属機関である東京慈恵会医科大学内で外科学講座から教育センターに異動した事情があり、研究室及び研究分担者との研究協力体制の調整が必要となり、当初計画していた研究が実施できなかったため次年度使用額が発生した。 (使用計画)食道癌手術症例のSENP1の発現を免疫組織学的に確認し臨床病理学的因子や予後との関連を検討する。またSENP-1発現抑制の食道癌細胞への影響について、食道癌細胞株(KYSE110,KYSE70,KYSE50,KYSE30 等)でsiRNAを用いたSENP-1発現抑制の影響(増殖能等)を確認する。
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