2017 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of a new cancer treatment targeting TLR7
Project/Area Number |
16K10531
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上原 圭介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50467320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
國料 俊男 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60378023)
山口 淳平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00566987)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TLR7 / Danger signal |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞株におけるTLR7阻害剤による抗腫瘍効果の検討:これまでの検討にてTLR7アゴニストであるイミキモドは10から1μM、ODN20958は0.5μMから0.05μMにて癌細胞株での増殖抑制効果と細胞死の誘導効果を認めている。ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、ヒト胆管癌細胞株(HuCCT1)に対してイミキモドを10、5、2.5、1.25、0.6μMまたはODN20958を0.1μM、0.05μM、0.01μMにて投与し、経時的な形態の変化、アポトーシス誘導能(TUNEL法)、運動能(スクラッチアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ)について検討した。 経時的な形態の変化について、胆管癌細胞株(HuCCT1)は5μMで投与1日目、2.5μMで投与3日目に、ヒト大腸癌細胞株(DLD1)は10μMで投与1日目、5μMで投与3日目に形態の変化を認めた。一方で、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)は10μMで投与1日目に軽度の形態変化を認めたが、投与3日目以降でも形態の大きな変化を認めなかった。 アポトーシス誘導能について、ヒト胆管癌細胞株(HuCCT1)、ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)において、イミキモド5μMの投与48時間後にアポトーシスを認めた。 運動能(スクラッチアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ)について、いずれの細胞株においても、イミキモド5μMにおいて抑制効果を認めた。イミキモドが癌細胞に対して増殖抑制以外の抗腫瘍効果を有していることが明らかになった。一方でODN20958に関しては運動能(スクラッチアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ)について十分な抑制効果を確認することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)においてTLR7アゴニストであるイミキモドが増殖能以外の抗腫瘍効果を持つことが明らかになった。またTLR7阻害剤であるODN20958で濃度上昇による増殖が亢進効果を認めており、運動能(スクラッチアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ)の関しても十分な抑制効果の確認できなかった。TLR7阻害によるものかオフターゲットによるものかなどのメカニズムの解明が不十分であり、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
イミキモドに関しては増殖能以外の抗腫瘍効果を持つことが明らかになったが、TLR7阻害剤であるODN20958での抗腫瘍効果(増殖能、運動能、浸潤能)関して十分な抑制効果の確認ができなかった。この結果がTLR7阻害によるものか、またオフターゲットの関与によるものかなどメカニズムの解明を行う。 TLR7阻害剤による抗腫瘍効果の詳細なメカニズムの解明:ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)へのイミキモドまたはODN20958の投与群、非投与群に対してDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行い、TLR7阻害の作用機序に関連する遺伝子を同定する。同定された遺伝子を標的としたsiRNAを合成し、その遺伝子を抑制した状態でイミキモドまたはODN20958を癌細胞へ投与し、抗腫瘍効果への関与を明らかにする。 TLR7阻害剤による免疫応答の検討:大腸癌細胞株にTLR7阻害剤を投与し、Multiplexアッセイにより網羅的なサイトカインの解析を行う。Multiplexアッセイは約50種類のサイトカインの網羅的解析が可能であり、MultiplexアッセイによりTLR7阻害剤に関連する炎症系サイトカインを同定する。 担癌動物モデルにおけるTLR7阻害剤による抗腫瘍効果の検討:ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)の皮下発癌モデルへのイミキモドまたはODN20958の投与後、腫瘍体積の経時的な観察により抗腫瘍効果を検討する。腹膜播種モデルへのTLR7阻害剤の投与後、腹腔内所見、腹水中腫瘍マーカー、生存期間を検討する。肝転移モデルへのTLR7阻害剤投与の肝転移数および肝転移の腫瘍体積の変化を検討し、抗腫瘍効果について検討する。
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