2016 Fiscal Year Research-status Report
膵癌細胞-癌間質線維芽細胞クロストーク制御による膵癌オーダーメイド治療法の開発
Project/Area Number |
16K10588
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
元井 冬彦 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (30343057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 正憲 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (00401810)
大塚 英郎 東北大学, 大学病院, 助教 (50451563)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膵癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌の間質組織には膵星細胞が存在し、膵癌細胞の分泌する成長因子で活性化して膵癌細胞の増殖、遊走、転移を促す。癌細胞-膵星細胞クロストークを捉えることにより、膵癌オーダーメイド治療戦略を確立することを目的とした。手術切除標本を用いて、膵星細胞の初代培養を行い、3系統の初代培養を樹立した。樹立した星細胞を癌細胞とともに、免疫不全マウスに共移植したモデルを作成した。同モデルに種々のシグナル伝達を阻害するリン酸化阻害剤を投与して、共移植された腫瘍の微小環境の変化を検討するための基礎実験を行っている。 過去の多くの報告では、初代培養の膵星細胞を用いた検討は少なく、不死化された膵星細胞が用いられているため、不死化の過程で生じる細胞の性質変化の影響が除外できない。初代培養の膵星細胞により種々の検討を行うことができれば、不死化の影響が除外され、更に膵癌細胞との共移植により、癌細胞ー膵星細胞のクロストークが解析できると考えられた。共移植された腫瘍の解析はまだ充分に行えていない。 初代培養膵星細胞の培養上清を回収して作成した調整培地を、培養膵癌細胞に添加したところ、予想通り、膵星細胞培養上清添加により、膵癌細胞の生育は促進された。生態環境に近い初代培養膵星細胞(不死化ではない)が産生する何らかの液性因子が膵癌細胞の増殖を促す可能性が示された。そこで、液性因子の網羅的解析のために、初代培養膵星細胞の培養上清を充分量調整・採取しており、解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
必要とされる初代培養膵癌細胞ー膵星細胞の共移植モデルにおいては、細胞数を充分に確保する必要がある。しかし、初代培養膵星細胞では、生育条件が不死化細胞と異なり、細胞増殖にばらつきがあり、再現性のある実験の反復がやや困難な面がる。初代培養の膵星細胞の生育が充分でないため、解析に必要な培養上清が反復実験に耐える量得られていない。また、充分な細胞数が準備された場合でも、移植条件により移植腫瘍の生育にばらつきが生じることがあるため、モデルの確立がまだ安定していない可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
初代培養膵星細胞及び膵癌細胞が充分に得られない、あるいは充分な増殖が確立されない場合、実験の再現性に影響を及ぼし、のちの解析に困難を伴うことが予想される。そこで、手術時に採取された膵癌切除標本のホルマリン固定標本から、切片を作成し、顕微鏡的に癌細胞・癌関連膵星細胞を分離採取して、液体クロマトグラトグラフィータンデム質量分析を行うことも検討する。また、分離採取が充分な制度で行われない場合には液体クロマトグラトグラフィータンデム質量分析で成果が出ない可能性あるため、切除切片を用いた免疫組織染色を行うことも検討する。当施設では、膵癌切除症例が年間40-50例あるため、化学療法・化学放射線療法後の切除例と未治療切除例の切除標本がある。それらの標本から、治療介入別に膵癌ー膵星細胞の関連を検討していく方向性も検討している
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