2016 Fiscal Year Research-status Report
肺移植における気道上皮被覆液中の薬物濃度測定と免疫制御
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16K10692
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岩崎 正之 東海大学, 医学部, 教授 (90223388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 光智 東海大学, 医学部, 准教授 (10276272)
増田 良太 東海大学, 医学部, 准教授 (10408057)
中川 知己 東海大学, 医学部, 准教授 (30439707)
大岩 加奈 東海大学, 医学部, 助教 (30548045)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肺移植 / 気道上皮被覆液 / サイトカイン / 虚血再灌流障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺移植には虚血再灌流傷害や拒絶反応、感染などの解決すべき問題も多い。気道上皮被覆液(Epithelial lining fluid: ELF)からは呼吸器系の病態を把握する上で有用な情報が得られる。経気管支マイクロサンプリング法(Bronchoscopic microsampling: BMS)は気管支鏡下に末梢気管支からELFを低侵襲で採取する方法である。吸水性ファイバーロッドを先端に装着したプローブがELFを吸収し、経時的な複数回の検体採取と各分子の定量が可能である。イヌ同種左肺移植モデルでBMSによるELFの経時的採取を1時間ごとに5時間まで行い、炎症性サイトカインTNF-alpha、IL-1beta、 IL-6、 IFN-gamma濃度をそれぞれ測定し比較した。ドナー肺は18時間の保存後に移植した(n=4)。サイトカイン濃度をELISAで測定した。移植群では虚血再灌流傷害により動脈血酸素分圧PaO2は低下したが、BMSによる明らかな有害事象は認めなかった。採取量は6.0±4.9 (mean±SD) microliterであった。ELF中TNF-alpha濃度は移植群では再灌流開始後に上昇し、5時間後まで100 pg/ml以上の値を維持してsham群と比較して有意差を認めた(p<0.05)。IL-1beta濃度は移植群で 931 ± 2819 pg/ml、sham群で824 ± 1500 pg/ml であり、群間で有意差を認めなかった。IL-6濃度は移植群で71.3 ± 116.2 pg/mlと sham群(19.6 ± 36.0 pg/ml, p = 0.16)と比較し高い傾向を認めた。IFN-gamma濃度は移植群で306 ± 441 pg/ml とsham群(1246 ± 957 pg/ml)と比較し、有意に低い値を示した(p< 0.001)。肺移植モデルにおいてBMSによるELFの経時的採取で明らかな有害事象を認めず、ELF中の炎症性サイトカイン濃度の経時的変化が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同種肺移植のモデルにおける、虚血再灌流障害或いは拒絶反応に関与すると考えられる炎症性サイトカインの測定実験は順調に進行している。一方、自家肺移植モデルでは肺動脈、或いは左房の吻合に縫いしろが短くなるため、技術的な問題が生じており、研究がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
自家肺移植モデルの移植手術を改善する必要がある。肺動脈、或いは左房の吻合において縫いしろを確保するため、心膜を用いた血管形成の技術を用いることによって、グラフトと肺動脈、或いは左房の吻合が可能になる。安定したモデルが完成しだい、気道上皮被覆液中の薬物濃度の測定を遂行する。
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Causes of Carryover |
動物実験施行や試料測定に共同利用施設の物品を使用できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試料測定に使用予定である。
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Research Products
(2 results)