2017 Fiscal Year Research-status Report
肺癌前転移ニッチ関連バイオマーカーの特定と先制医療への展開
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16K10695
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
齊藤 朋人 関西医科大学, 医学部, 助教 (10548605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村川 知弘 関西医科大学, 医学部, 教授 (50359626)
小延 俊文 関西医科大学, 医学部, 講師 (10254517)
金田 浩由紀 関西医科大学, 医学部, 講師 (20411522)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 炎症性シグナル / 肺癌 / 手術検体 / nCounter / バイオマーカー / RNA / 前転移ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1. 炎症性シグナルの網羅的解析により肺癌前転移ニッチ関連バイオマーカーを特定する。2. 肺癌前転移ニッチ関連バイオマーカーのうち術後転移危険因子(=治療標的分子)を特定する。3. 病理組織検体の詳細な検索により治療標的分子の責任細胞(=治療標的細胞)を特定する。である。 平成28年度の研究実施計画目標は、炎症性シグナル網羅的解析による肺癌前転移ニッチ関連バイオマーカーの特定であった。まず、肺癌手術症例のうち約500例について、その病理所見を病理医とともに再検討し2015年版の肺癌WHO分類に照合し浸潤径を測定した。またそれぞれの標本について、RNA抽出用の薄切切片を作成した。 平成29年度以降の研究実施計画目標であった、2-a)解析対象の後方視的調査および、3-a) 術前化学療法症例における術後アウトカムの調査については、データベースの構築を完了した。この結果判明したこととして、総じて脈管侵襲陽性症例が多いために、脈管侵襲陰性症例と比較した場合に恣意的な症例選択となりえ、その他の臨床病理学的情報が偏ることが懸念された。したがって、まず腺癌のうち病理学的にN0M0のもの(病理病期 I期)について、予後良好群11例と予後不良群(早期の遠隔転移再発あり)10例を、nCounter PanCancer Immune Profile Panelで網羅的遺伝子発現解析を行い、前転移ニッチ関連バイオマーカー候補遺伝子を複数同定した。この成果は平成30年5月の日本呼吸器外科学会において発表予定である。 平成30年度の研究計画は、上記前転移ニッチ関連バイオマーカー候補遺伝子の検証である。新たなstudy populationを対象に上記候補遺伝子の発現強度が予後良好群、予後不良群の間で異なるかを、nCounter、および、RNA scopeや免疫染色等の病理学的手法によって検証し、再現性や局在が確認されたものを前転移ニッチ関連バイオマーカーとして特定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
断片化を伴うとされるホルマリン固定・パラフィン包埋切片から抽出したRNAでも比較的安定的に解析可能な点がnCounterの長所であるが、断片化が高度な場合は解析ができない場合が生じた。解析の可否はBioanalyzerなど既存のRNA integrityの測定では予想困難であり、事前に適正なサンプルのみを選択することが困難だった。このために十分なサンプル数での網羅的遺伝子解析を完遂し前転移ニッチ関連バイオマーカー候補遺伝子を同定するまでにやや時間を要した。平成29年度の研究実施計画のうち一部が平成30年度に持ち越しとなっており、研究進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、nCounter custom made panel, 病理学的手法を用い、効率よく前転移ニッチ関連バイオマーカーの検証・局在の同定を行っていく。前転移ニッチ関連バイオマーカーを同定し、肺癌転移形成分子機構の解明と、新規治療すなわち先制医療の標的特定に努める。
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Causes of Carryover |
平成30年度に、十分な検体(約48-96例を想定)に対し、60-80程度の候補遺伝子を解析するために必要なnCounter Custom Panelを購入・使用するために、平成29年度の残額と平成30年度の予算額を合算し使用する予定とした。この目的のために、計画的に平成29年度の未使用額を平成30年度に繰り越し使用することとした。すべての予算を本研究の遂行のために執行する予定である。
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Research Products
(1 results)