2017 Fiscal Year Research-status Report
脊髄障害性疼痛の分子・細胞病態解明とニューロイメージング評価法の開発
Project/Area Number |
16K10817
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中嶋 秀明 福井大学, 学術研究院医学系部門, 講師 (10397276)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脊髄障害性疼痛 / 脊髄損傷 / 圧迫性脊髄症 / ニューロイメージング / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6Jマウスの骨髄をCAG-EGFPマウス骨髄に置き換えたキメラマウスを用いて頚髄圧挫損傷モデルを作成し、損傷後経時的に免疫染色、autoradiography、PET撮影を行った。また、頚髄損傷後急性期~亜急性期患者や、難治性慢性疼痛が残存する脊髄損傷および頚髄症患者6名を対象として、[11C]-PK11195 PET/MRI撮影を行い、SUV値を評価した。 急性脊髄損傷モデルにおける免疫組織学的検討では、PBRはCD11b, Iba-1とは一部mergeしたが、GFP陽性細胞との二重陽性細胞はほとんどみられなかった。これらの結果から、PBRは主に脊髄内ミクログリア由来の活性型ミクログリアに発現することが示唆された。autoradiographyでの[3H]-PK11195発現は、脊髄損傷後4日から14日で発現上昇がみられ、28日目での発現は低かった。[3H]-PK11195 PETでは損傷部を中心にuptakeがみられ、免疫染色と同等の経時的変化がみられた。[11C]-PK11195 PET/MRIを用いた臨床応用では、脊髄損傷後3ヵ月以内での症例でuptakeがみられた。しかし、急性期であっても損傷程度が強くはないと思われた症例や、疼痛の程度が強い症例であっても慢性期にはuptakeは確認されなかった。 核種にPK11195を用いたPET/MRIにて活性化ミクログリアの動態を可視化できる可能性が示唆された。その意義については議論の余地がある。急性期から亜急性期では活性型ミクログリアの発現がみられるが、慢性期に残存する難治性疼痛にはミクログリアの活性化以外の病態が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験データは順調に蓄積している。 ヒト臨床データに関しては、当初予想していた頚髄でのuptakeは限られた症例でのみ認められることが分かってきたので、頚髄以外に脳の評価も加えるという変更を行い症例を重ねる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト臨床応用の現在までの結果では、頚髄でのuptakeは急性期~亜急性期に限られると考えられる。当初考えていた慢性疼痛の評価を頚髄で行うには限界があると考えられ、脳の評価も行うこととした。 マウス脊髄損傷でのデータはまとめつつ、ヒト臨床データの症例を重ねる予定である。
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Causes of Carryover |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。
29年度未使用額を30年度に持ち越して追加の試薬・抗体・消耗品等購入する。
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Research Products
(2 results)