2017 Fiscal Year Research-status Report
腰部脊柱管狭窄症における黄色靭帯肥厚メカニズムの解明
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16K10824
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西良 浩一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (10304528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 雅俊 徳島大学, 病院, 医員 (20748701)
東野 恒作 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 徳島大学専門研究員 (80380129)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 黄色靭帯 / 肥厚 / 線維化 / 小胞体ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
腰部脊柱管狭窄症の原因となる黄色靭帯肥厚のメカニズムの解明を行っている。近年、様々な疾患との関連が報告されている、小胞体ストレスに着目して研究を進めた。 肥厚した靭帯と肥厚していない靭帯との遺伝子発現をqPCRで比較したところ、小胞体ストレスに関わる遺伝子が靭帯肥厚群で増加していた。さらにこれはwestern blottingでも確認できており、靭帯肥厚と小胞体ストレスは関連していることが分かった。 しかしながら、小胞体ストレス応答にはATF6・IRE1・PERKの3つの代表的なpathwayがあるが、特にどのpathwayが靭帯肥厚に関係しているかが明らかになっていなかった。そのため、それぞれの経路のover expressionや阻害剤を用いて検討したところ、ATF6経路は靭帯肥厚の原因となるコラーゲンの産生に強くかかわっていることが分かった。ATF6を過剰発現した細胞にTGF-β刺激を行ったところ、コラーゲンの産生量の増加がみられた。逆に、ATF6経路の阻害剤であるsite one protease inhibitorを投与したところ、western blottingでCOL1A-1の産生量が減少していた。さらに、培養上清中の1型コラーゲンの量をELISAで評価したところ、ATF6阻害剤を投与するとコラーゲン量は低下していた。以上のことから、小胞体ストレス応答の中でも、ATF6が特に黄色靭帯肥厚にかかわっていると考えらえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手術で採取した靭帯や靭帯由来の線維芽細胞を用いた解析から、小胞体ストレス応答が黄色靭帯肥厚の原因になっていることが新たにわかった。さらに小胞体ストレス応答の経路の中でもATF6が特にコラーゲン線維の産生に関わっており、この経路の活性を阻害することで靭帯肥厚を抑制できる可能性があることが分かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
黄色靭帯肥厚における小胞体ストレスのさらなる役割を明らかにしていきたい。ATF6の経路の関わりは明らかになってきたが、ほかの小胞体ストレス経路の靭帯肥厚における役割はわかっていないため、そちらも解析を進めていきたい。 またわれわれは、黄色靭帯肥厚は主に靭帯の背側で起こっていると考えている。力学的に背側の方でメカニカルストレスがかかっていることが予想されるが、そこでおこっている分子メカニズムはわかっていない。そのため、靭帯を背側と腹側にわけ、遺伝子やたんぱくの発現を評価し肥厚のメカニズムを明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
(理由) 予定していた消耗品が残っていたため (使用計画) 上記記載の計画に必要な消耗品を購入する予定である
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Research Products
(10 results)