2017 Fiscal Year Research-status Report
腕神経叢引き抜き損傷に対する前処理自家神経を用いた神経根再移植術
Project/Area Number |
16K10857
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 壮一 京都大学, 医学研究科, 講師 (70592484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池口 良輔 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80437201)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 移植・再生医療 / 脳・神経 / 再生医学 / 腕神経叢損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット第6頚髄神経引き抜き損傷モデルを作成し、同時に隣接する第5頚髄神経根を鋭的に採取する。採取した神経をレスベラトロール添加シュワン細胞用培地で1週間器官培養する。その後、前処理神経を脊髄と引き抜かれた神経根間に橋渡し移植する。このモデルでレスベラトロールの有用性を現在検証している。今回、1週間器官培養する過程で神経内に生じる変化を、PCR法やERISA法を用いて分子生物学的に検証し、BDNFがレスベラトロール添加培地で培養された神経内で優位に増加することを確認した。さらに脱分化シュワン細胞やマクロファージに対する抗体を用いて免疫組織学的に検証し、両細胞がレスベラトロール添加培地で培養された神経内で増加傾向にあることを確認した。この成果は、ラット引き抜き損傷後の神経根再移植法の術後8週目で、レスベラトロール前処理した移植神経が、神経再生を優位に促進していた結果と合わせて、現在、海外雑誌に投稿中である。また、同じ実験系で、レスベラトロール前処理による神経再生促進作用を術後6か月で検証した。術後6か月では、再生する軸索数に有意差は見られなかったが、再生神経の直径と神経周囲の髄鞘の厚みがレスベラトロール前処理群で優位に増大していた。これは、レスベラトロール前処理により、神経再生が促進され、その効果が長期に維持されることを示唆していると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再移植後、長期経過例の評価方法として、当初の計画では大脳電気刺激による上腕二頭筋の活動電位の計測を予定したが、検査手技および評価を安定して行うことが困難であった。そのため、昨年度に電気刺激部位を肩関節の前方、つまり移植した神経の末梢で刺激を行って上腕二頭筋への神経再生を評価することに変更した。この電気生理検査を術後1年経過した3例で今後、施行予定である。また、Grooming testなどの機能評価が、実際にはこのモデルで評価困難なことが判明し、機能評価は省略することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
レスベラトロール以外の薬剤として、コンドロイチナーゼABCを用いて同じ実験系で神経再生促進作用を検証中である。また、今回使用したラット実験モデルでは、C5神経根を移植神経のドナーとして使用したが、実際に臨床に反映させるには、より長い移植神経が必要と考えている。脊髄と目標筋を直接連結させるような、ラット神経根再移植モデルを現在、試作、検証中である。
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