2017 Fiscal Year Research-status Report
成人低酸素症に対する100%酸素蘇生による臓器障害発生機序とその治療戦略の確立
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16K10935
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
植木 正明 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (20213332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 修平 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00263898)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低酸素蘇生 / アポトーシス / 腎障害 / 100%酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人の低酸素症時の100%酸素による再酸素化後の腎機能に及ぼす影響を検討した。実験には生後8週例雄のマウスを使用し、自家製の低酸素ボックスでマウスを8%酸素30分曝露後、30分間の100%酸素(HP100群)及び空気(HP21群)に分けて蘇生を行った。対象は8%酸素の代わりに空気で暴露した(CT群)。 1.9時間後の炎症サイトカインのtumor necrotic factor (TNF)α mRNA発現はHP100群とHP21群では、CT群に比べて、増加するが、両群間で差はなかった。また、interleukin (IL)-1β mRNA発現はHP100群でCT群に比べて、有意に増加していたが、HP21群とは差がなかった。さらに腎caspase-3 mRNA発現は、HP100群とHP21群では、CT群に比べて、増加し、さらにHP100群はHP21群比べて、有意に増加していた。DNA損総修復に関与するNeil3 mRNA発現は、HP100群でHP21群に比べて優位に低下していた。血清BUN、Cr値はHP100群とHP21群では、CT群に比べて、増加し、さらにHP100群はHP21群に比べて、有意に増加し、腎機能障害を呈していた。 2.24時間後のヘマトキシン・エチレン染色による腎組織病理的検討では、3群間で有意な病理変化は認められなかった。 本結果は、新生児低酸素蘇生時での空気蘇生が推奨されているのと同様に、成人でも空気による蘇生が脳、腎障害の軽減には有効である可能性を示唆している。さらに、今後、成人での100%酸素蘇生による臓器障害機序の解明とその治療法の解明に役立つものと考えられる。 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成人での100%酸素蘇生による臓器障害発症機序に、脳では炎症性サイトカイン産生増加、エリスロポイチン産生誘導低下、アポトーシスなどが関与していたが、今回の腎臓でも、アポトーシスが腎機能障害への進展につながっていたが、予想していた炎症性サイトカインの関与の可能性は低いと考えられる。今年度は、低酸素後の100%酸素による再酸素化の腎組織への影響をヘマトキシン・エチレン染色以外に、タネル染色でアポトーシスを確認する予定であったが、抗アポトーシス交代の染色性が低く、最適な抗体の決定ができていないので、次年度には抗体を決定して、タネル染色を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の実験結果から、今後の治療法への進展には直接つながらなかったが、100%酸素化による低酸素応答転写因子であるHIF-1の分解抑制剤の有効である可能性が考えられるので、治療法の確立に向けて、研究をさらに進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度は、低酸素後の100%酸素による再酸素化の腎組織への影響をヘマトキシン・エチレン染色以外に、タネル染色でアポトーシスを確認する予定であったが、抗アポトーシス交代の染色性が低く、最適な抗体の決定ができていないので、次年度には抗体を決定して、タネル染色を行う予定である。
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