2018 Fiscal Year Research-status Report
敗血症性ショックと小腸粘膜障害-新規治療ターゲットとしての基盤確立-
Project/Area Number |
16K10942
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
関野 元裕 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (40380927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 哲也 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (50304952)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 敗血症性ショック / 小腸粘膜細胞 / 腸型脂肪酸結合蛋白 / 腎機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
ICU入室時の舌の肉眼的虚血所見と小腸粘膜傷害の指標である腸型脂肪酸結合蛋白(Intestinal fatty acid-binding protein: I-FABP)および28日死亡に関連に関する研究の成果を、集中治療医学の英文誌、SHOCKに掲載された(Sekino M, et al. Shock 2018; 50:530-537)。この中で、舌の虚血所見は小腸粘膜傷害、すなわちI-FABPの上と関連すること、また28日死亡に統計学的に有意に関連することを明らかにした。現状、I-FABP測定は研究目的に行なわれており、日常診療で使用することは不可能である。しかし、舌の所見を観察することにより小腸粘膜傷害の有無や予後の予測を行なうことができる可能性を示した。 また、I-FABPは腎排泄であるため腎機能障害によりその値が上昇している可能性や腎代替療法により血中濃度が低下する可能性が指摘されている。そのため腎機能正常患者、慢性腎不全患者、維持透析患者におけるI-FABP値および血液透析における除去に関する研究を行ない英文誌、Journal of Surgical Researchに掲載された(.Kyoko O, Sekino M, et al. J Surg Res 2018; 230:94-100)。I-FABPを腸管虚血の診断および重症患者の予後予測に使用する場合には、I-FABPは腎機能および腎代替療法により影響を受けることに注意する必要性があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
敗血症性ショック患者を対象にした臨床研究は順調に進んでおり、その成果を英文誌に投稿できている。また、この研究の過程で明らかとなった腎機能がI-FABPに与える研究結果も同時に得ることができ、英文誌に掲載された。一方、臨床研究の遂行および解析、論文作成等に時間を要したため動物実験の進行が滞っているため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
敗血症性ショック患者を対象にした臨床研究のサブ解析および腎機能に関する更なる研究を予定しており、今後論文化を行なう予定である。
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Causes of Carryover |
臨床研究は順調に進行しているものの、動物実験に遅延が生じているために次年度使用額が生じた。動物実験の遂行に加え、敗血症研究におけるサブ解析および腎機能に関する研究の結果を学会発表する際の旅費、英文誌投稿に関わる校閲費等に使用する。
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Research Products
(5 results)