2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of Estrogen Receptor Stimulation to Non-Bacterial Prostatic Inflammation
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16K11051
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
森 健一 大分大学, 医学部, 客員研究員 (00579013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三股 浩光 大分大学, 医学部, 教授 (60219714)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エストロゲン受容体 / 非細菌性慢性前立腺炎 / エストロゲン受容体α / エストロゲン受容体β / 選択的ERβアゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
エストロゲン受容体(ER)にはERαとERβの2つのサブタイプがある。ERαは細胞増殖、炎症誘発作用、発癌作用を持つのに対し、ERβは抗増殖作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用を有する。ERαとERβは相反する作用を持ち、生体内におけるその作用はERαとERβの発現比により決定される。ERαとERβは共に前立腺や膀胱組織にも分布していることが確認されているが、非細菌性慢性前立腺炎においては ERβの抗炎症作用についての報告はない。さらに選択的 ERβアゴニストを用いた治療に関する報告もみられない。申請者らは、非細菌性慢性前立腺炎モデルであるホルマリン誘発性前立腺炎ラットモデルに対して選択的ERβアゴニストである5α-Androstane-3α,17β-diol(3αdiol)を経口投与することで排尿筋過活動の改善を確認することができ、前立腺炎においても選択的ERβアゴニストの炎症改善効果を確認することができた。非細菌性慢性前立腺における前立腺組織においても他の報告と同様にERβ/ERαの発現比が低下しており、ここに選択的 ERβアゴニストを投与することでERβ/ERαの発現比の増加を認め、ERβによる抗炎症作用を確認することができた。非細菌性慢性前立腺炎の患者は多く、会陰部不快感や頻尿などの下部尿路症状が持続しQOLを著しく損なうことが報告されている。治療はα1 アドレナリン受容体遮断薬を主体として行われるが、十分な効果が得られない症例も少なくなく治療が長期化することも多い。本研究では非細菌性慢性前立腺炎に対する選択的 ERβアゴニストの有効性が確認でき、今後の臨床応用へと発展させる基礎研究となったと思われる。さらに最終年度は細菌性慢性前立腺炎の炎症性マーカーやとしてIL-18の有効性を検討し、炎症状態を評価する炎症性マーカとしての有効性を見いだすことができた。
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