2018 Fiscal Year Research-status Report
男性不妊症由来iPS細胞のエピゲノム解析および幹細胞研究による男性不妊症の解明
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16K11072
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小林 秀行 東邦大学, 医学部, 准教授 (10408875)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | iPS / 男性不妊症 / 無精子症 |
Outline of Annual Research Achievements |
男性不妊症は、約80%が造精機能障害であり、原因が不明である。特に、無精子症は精液中に精子が1匹もみられず、挙児を希望するカップルでは問題となる。無精子症の中でも非閉塞性無精子症は、精巣内で精子を全く作っていないか、もしくはごくわずかしか形成されていない重篤な病態である。 無精子症を呈する非閉塞性無精子症や閉塞性無精子症の精巣組織をmicro TESEやsimple TESEにて採取した。その後、線維芽細胞を樹立し、センダイウイルスを用いて、ヒトOct4, Klf4, Sox2, c-Mycを導入し、iPS細胞を誘導してきた。これまでに、47,XXYにて無精子症であるKlinefelter症候群由来iPS細胞の樹立に成功している。(Shimizu T, Kobayashi H. 2016)また、ヒトの代替え種であるマイクロミニブタを用いたiPS細胞の誘導を試みたが、完全なiPS細胞を樹立することができなかった。(Yamabe F, Kobayashi H. 2017) 更なる検討として、男性不妊症患者から誘導したiPS細胞を用いて、網羅的な遺伝子解析を行なうことを予定していた。しかし、解析に必要な十分なiPS細胞を誘導することができず、研究の進行具合いに関しては、目標通りには進んでいない。進行が遅れた原因としては、2016年12月末に起こった-80℃冷凍庫の故障による保存検体の消失が影響している。保存していた線維芽細胞を失い、容易にiPS細胞の誘導が行なうことができなくなった。2018年にこれまでの-80℃冷凍庫、-20℃冷凍庫、4℃冷蔵庫を一新し、現在、検体の採集を行なっている所である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2016年12月末に起こった-80℃冷凍庫の故障により、それまでに保存していた約40の保存検体が消失した影響が、当該年度の研究の遅延につながっている。平成30年度の研究目標で、検体の収集を目標に掲げていたが、micro TESEの件数が少なく、目標とする検体数は集まっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に目標とする検体数が集まっていない。そのため、男性不妊症患者から誘導したiPS細胞の網羅的な遺伝子解析が進んでいない。そのため、研究計画の変更あるいは研究を施行する上での課題として、非閉塞性無精子症の精巣組織を用いた網羅的遺伝子解析を予定している。この方法であれば、検体数も少なくて済むことができる。コントロール群を閉塞性無精子症の検体として、精子の有無で遺伝子レベルにおいて何か差がみられることが期待される。また、2018年に、これまでの-80℃冷凍庫、-20℃冷凍庫、4℃冷蔵庫を一新したので、研究環境としては申し分ないと思われる。
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Causes of Carryover |
検体収集を行なっており、予定している研究が行なえていない状況にて次年度使用額が生じている。使用計画については、iPS細胞を誘導するのに必要なキットや各種の培養液を購入する。具体的には、iPS細胞の作成および培養に必要なセンダイウイルスのベクターキット、培養液、凍結液、剥離液を購入する。また、iPS細胞を培養するためのフィーダー細胞である、MEF細胞を購入する。また、誘導したiPS細胞の解析に、外注検査として、染色体検査(Gバンド法)や、ゲノムシーケンスを予定する。
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