2016 Fiscal Year Research-status Report
単一細胞解析のための, 全ゲノム増幅技術の最適化の研究
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16K11106
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 卓 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40383898)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 全ゲノム増幅法 |
Outline of Annual Research Achievements |
特に着床前遺伝子診断の実施を目的として, 単一細胞解析のための全ゲノム増幅法の, 基礎的な研究を行っている. 各種WGAによるDNA増幅の遺伝子変異部位と近接する遺伝子多型におけるヘテロ接合性を解析し, 特に対立アリルの一方のみが増幅される現象であるアレルドロップアウト現象の出現頻度について, 遺伝子増幅のための酵素ごとに解析を行っている. 現在までにmultiple displacement amplification(MDA)およびその他のPCR法を原理に持つ遺伝子増幅法との比較を行ってきた.
さらに, 精子および卵子ハプロイドのもつハプロタイプを解析する系を構築するために, 精子Ⅰ細胞の安定的な単離の技術開発を目指している. 顕微操作による単離における工夫や, 血球計算盤を用いた希釈単離法の最適化の検討を行った. 精子を単離するし全ゲノム増幅法に供することで, 変異を有する(罹患)ハプロタイプの解析が可能となる. これは, 今後着床前診断の実施の上で, 疾患クライエントの家系内の減数分裂の情報(例えば夫婦および罹患者であると判明しているその子どものそれぞれのもつハプロタイプ情報)を必要としない効果をもたらす可能性があり, 罹患者のDNA資料が得られない事例や, 夫婦のいずれかがde novoの変異をもつ優性遺伝病の事例などで, 特に有効となる.
また, 全ゲノム増幅法のバイアスのない増幅の条件を検討するために, 増幅産物における遺伝子・染色体コピー数解析を行っている. 解析には各種のマイクロアレイを用いており, 酵素とアレイ・プラットフォームの組み合わせに基づく相違点などを検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
さらに, その他の全ゲノム増幅技術との比較も検討する.
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Causes of Carryover |
細胞の単離技術の確立にエフォートを割く方針に変更したため, 高額な遺伝子工学技術による解析は当初の予定よりも遅れて進行している. 従って故に, 次年度使用額が生じている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定通り, 今後は遺伝子解析に費用を充当する.
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