2016 Fiscal Year Research-status Report
若年女性の骨粗鬆症一次予防に向けた包括的アプローチに関する研究
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16K11140
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 博哉 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60229432)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 若年女性 / 骨粗鬆症 / 一次予防 / ビタミンD / ビタミンK / 骨密度 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年女性のビタミンD・K摂取不足とそのことによる健康障害の存在が強く懸念される。骨量は、学童期から思春期にかけて形態学的成長と共に量的増加を示し、20歳前後で最大骨量となりその後安定して推移するが、女性においては50歳前後で閉経に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の急激な枯渇に伴い著しく減少する。よって、若年期に高い骨量を獲得しておくことは、後年になって骨量の低下があっても、骨粗鬆症の発症や骨折閾値への到達を遅らせることにつながる。ビタミンD・K摂取不足は、生活環境の大きな変遷が要因の一つである。 平成28年度は、健常な若年女性を対象に、生活環境要因とともに、ビタミンD・K等を含む栄養摂取状況を正確に把握し、その骨量ならびに骨代謝動態への影響を調べた。また、若年女性が抱いている骨に対する健康観ならびに予防行動を調べることにより、骨粗鬆症一次予防につながる保健指導の在り方を探った。調査の進捗状況としては、健常な若年女性(神戸大学学生40名、滋賀県立大学学生20名)を対象とし、超音波骨密度測定装置を用いて、踵骨の骨密度を測定するとともに、採血を行い、骨代謝マーカーならびにビタミンD・K等の代謝関連因子を調べた。骨吸収マーカーとして血清Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)と酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRACP-5b)を、骨形成マーカーとして血清骨型アルカリホスファターゼ(BAP)をEIA法によりそれぞれ測定した。さらに、対象者の若年女性が抱いている骨の健康あるいは骨粗鬆症に対する認知・認識・予防行動を質問紙から包括的に把握した。これらの成績を、データ解析ソフトSSPSにほぼ入力し終えたとところである。すみやかに分析に取りかかりたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、2つの施設で女子大学生(神戸大学学生40名、滋賀県立大学学生20名)を対象とし、超音波骨密度測定装置を用いて踵骨の骨密度を測定するとともに、採血を行い、骨代謝マーカーならびにビタミンD・K等の代謝関連因子を調べることができた。さらに、授業時間ならびにその終了後を使用し、質問紙を配布し、対象者から骨の健康あるいは骨粗鬆症に対する認知・認識・予防行動を把握することができた。データ量が多いこともありデータ入力に時間を要したが、データ解析ソフトSSPSにほぼ入力し終えることができた。よって、おおむね順調に進展していると自己判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、健常な若年女性の対象者を増やすべく、2つの施設において平成28年度の調査を継続実施する。ビタミンD・K等の栄養摂取を含む生活環境要因ならびに骨量と骨代謝動態の関連が見いだされるべく、対象目標数150人(神戸大学学生100名、滋賀県立大学学生50名)を目指す。データの分析に全力で取り組む。可能であれば、月経周期異常や体重減少経験あるいは摂食障害で神戸大学病院産婦人科外来を受診する骨量減少合併若年女性を対象に同様の調査を実施するとともに、月経異常に加えて、ビタミンK不足の骨量への影響、あるいはエストロゲンとビタミンK不足の間に関連が確認され、同意が得られれば、月経異常に対する治療の有無にかかわらずビタミンK補充療法(グラケ―1日45mg、1年間投与)による骨量改善の効果を検証する。月経異常に対する治療のみ実施する場合(ホルモン剤使用)はその前後で骨量測定を実施し、比較対照とする。
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