2017 Fiscal Year Research-status Report
若年女性の骨粗鬆症一次予防に向けた包括的アプローチに関する研究
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16K11140
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 博哉 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60229432)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 若年 / 骨量 / ビタミンD / ビタミンK |
Outline of Annual Research Achievements |
若年女性のビタミンD・K摂取不足とそのことによる骨の健康障害の存在が強く懸念される。 平成29年度は、健常な若年女性(神戸大学学生、滋賀県立大学学生合計195名)を対象に、生活環境要因とともに、ビタミンD・K等を含む栄養摂取状況を正確に把握し、その骨量を超音波骨密度測定装置を用いて測定した。その結果から、骨粗鬆症もしくは低骨量の対象者を47名抽出し、それと同数の、体格を一致させた正常骨密度の対象者を無作為に抽出した。それらの対象に血液検査を実施し、骨代謝マーカーならびにビタミンD・K等の代謝関連因子を調べた。骨吸収マーカーとして血清Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)と酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRACP-5b)を、骨形成マーカーとして血清骨型アルカリホスファターゼ(BAP)をEIA法によりそれぞれ測定した。また、若年女性が抱いている骨に対する健康観ならびに予防行動を調べることにより、骨粗鬆症一次予防につながる保健指導の在り方を探った。骨量低下(-1.0SD、YAM値88%以下)が約8%存在することが明らかになった。生活要因としては、規則正しい食生活、体格、過去ならびに現在の運動習慣、ビタミンK、Mg、Ca摂取不足が有意に骨量に影響を及ぼすことが考えられた。また、ビタミンD摂取不足は骨量低下につながる傾向を示した。対象者の若年女性が抱いている骨の健康あるいは骨粗鬆症に対する認知・認識・予防行動に関しては、さらなる分析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究での前半2年間で実施する予定であった、健常な若年女性における、ビタミンD・K等の栄養摂取を含む生活環境要因ならびに骨量と骨代謝動態の関連を調べることが実施できた。その分析から、骨量低下(-1.0SD、YAM値88%以下)が約8%存在すること、生活要因としては、規則正しい食生活、体格、過去ならびに現在の運動習慣、ビタミンK、Mg、Ca摂取不足が有意に骨量に影響を及ぼすことを見出した。また、対象者の若年女性が抱いている骨の健康あるいは骨粗鬆症に対する認知・認識・予防行動からその健康観を包括的に把握できつつあり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
健常な若年女性における、ビタミンD・K等の栄養摂取ならびに生活環境要因が骨量と骨代謝動態に影響を及ぼすことが明らかになった。重要な知見であるので、今後さらに対象者を増やし、評価することが肝要であると考える。また、対象者の若年女性への保健指導を構築する上で、彼女らが抱く骨粗鬆症に対する認知・認識・予防行動を詳細に把握する必要性がある。
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Causes of Carryover |
ビタミンD・K等の栄養摂取を含む生活環境要因ならびに骨量と骨代謝動態を調べる対象者が若干計画人数より少なかったためである。次年度、計画目標人数に達するよう使用する予定である。また、研究遂行中に、フィリピンでも同様に、若年女性でのビタミンD・K不足と骨量低下の関連が示唆された。次年度、フィリピン保健センタースタッフとこのテーマに関してシンポジウム開催を計画し、本研究費をそのため使用することを考えている。
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