2018 Fiscal Year Research-status Report
若年女性の骨粗鬆症一次予防に向けた包括的アプローチに関する研究
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16K11140
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 博哉 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60229432)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 若年女性 / 骨密度 / 骨代謝 / 栄養 / 身体活動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨量は、学童期から思春期にかけて形態学的成長と共に量的増加を示し、20歳前後で最大骨量を示しその後安定して推移するが、女性においては50歳前後で閉経に伴うエストロゲンの急激な枯渇に伴い著しく減少する2)。よって、骨粗鬆症の発症や骨折閾値への到達を遅らせるために、若年期の高い骨密度の獲得と維持といった一次予防が重要である。 本研究では若年女性を対象とし、日常生活要因の各群(BMI;痩せ・普通・肥満、月経周 期;異常・正常、骨折歴;あり・なし、中学生時代の運動習慣;あり・なし、高校生時代の運動習慣;あり・なし、ダイエット経験;あり・なし、ダイエット時の月経周期の変化;あり・なし、各食事の摂取頻度;ほぼ毎日食べる・1週間に4,5回食べる・1週間に2,3回食べる・ほとんど食べない、食生活のリズム;良い・悪い、各栄養素摂取量;充足・不足、身体活動量;充足・不足、日光への曝露時間;15分以上・15分未満)において、骨密度、骨代謝マーカーおよび栄養代謝関連因子測定値を比較した。また、BMDを低骨量群と正常骨密度群に分け、骨代謝マーカーおよび栄養代謝関連因子測定値を比較した。また、日常生活要因の各群において、各栄養素摂取量を比較した。 女子大学生の約12%が低骨量であり、BMDと関連が認められた因子は、身体活動量、Ca・Mg・Zn摂取量、25OHビタミンDおよびucOCの血中濃度であった。また、CaおよびMg、P、Zn、ビタミンKの摂取量は朝食の摂取頻度と関連が認められ、CaおよびMg、P、Zn、ビタミンD、ビタミンKの摂取量は食生活のリズムと関連が認められたことから、若年女性を対象に、身体活動量の増加、栄養の摂取と規則正しい食生活について指導する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年、若者を取り巻く生活環境の変遷が若年女性の最大骨量の獲得や骨密度(Bone mineral density ; BMD)の維持を妨げていることが指摘されており、若者への適切な保健指導のあり方を確立することは喫緊の保健課題である。本研究で得られた成果は、身体活動量の増加、栄養の摂取と規則正しい食生活について具体的な指導につながるものであり、研究の達成状況としては概ね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られた成果、女子大学生の約12%が低骨量であり、BMDと関連が認められた因子は、身体活動量、Ca・Mg・Zn摂取量、25OHビタミンDおよびucOCの血中濃度であった。 栄養素の中でも特にビタミンDとKの不足が女子大学生の骨量ならびに骨代謝動態に影響を及ぼしていた。また、CaおよびMg、P、Zn、ビタミンKの摂取量は朝食の摂取頻度と関連が認められ、CaおよびMg、P、Zn、ビタミンD、ビタミンKの摂取量は食生活のリズムと関連が認められたことから、若年女性を対象に、身体活動量の増加、栄養の摂取と規則正しい食生活について指導する必要性が示唆された。このことを、国際英文誌に投稿すべく準備を整えている。できるだけ早く投稿したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究実施計画に基づき、2018年度にデータ収集は十分実施できたが、その分析を完全に終えることができなかった。従って、次年度に、分析を継続し、国際誌への投稿を完了することになった。
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