2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the physiological function the odorant binding protein and application to drug delivery
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16K11206
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤田 研 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50304308)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 匂い分子結合タンパク質 / 嗅覚 / ドラッグデリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
匂い分子結合タンパク質の生理機能の解明とその分子機構の解析した結果、このタンパク質が嗅神経細胞の匂いに対する感度を選択的に上昇させていることを見出した。また、このタンパク質のC末端領域のある2つの領域が神経細胞への匂い分子の輸送に関与していることが分かった。 嗅神経細胞の応答性を解析した結果、吻側付近では匂い受容が示されず中央から尾側の上皮でのみ匂い応答が見られた。また、匂い分子に依存して腹側と背側での応答性が異なることも分かった。 解析に用いたアカハライモリは両生類であり水棲時と陸棲時での分布を比較した結果、陸棲時の場合だけ生理機能を発現する嗅粘液層に分布が見られた。このことからこのタンパク質は陸棲生活に適合したものであると考えられた。水棲から陸棲への対応時間も10分程度で行われていることも分かった。イモリにおける匂い分子の生理的役割を調べた結果、ピラジン・チアゾール類は忌避行動を誘発することが分かった。 本タンパク質を用いた嗅覚輸送による脳へのドラッグ・デリバリー・システムの確立のため 本タンパク質の脳での分布を解析した結果海馬及び小脳でシグナルが確認された。このようにこのタンパク質は脳への薬剤輸送が可能であることが示唆された。また、実験には慢性ストレスによる嗅覚異常マウスの作成を行った。一般には拘束によるストレスで作成するがこの方法では1-2割程度でしか嗅覚異常マウスが作成できない。そこで拘束と水没を組み合わせたストレス添加で7割のマウスで嗅覚異常が生じることを見出した。このマウスでは嗅覚障害だけでなく記憶障害も確認できた。このマウスの海馬組織の影響を解析した結果、CA1領域において萎縮がみられグリア細胞数が健常マウスの半数になっていることも見出した。しかし、嗅覚異常マウスの治療はまだできていない。現在解析中である。
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