2018 Fiscal Year Research-status Report
小児悪性腫瘍の化学療法に伴う消化管粘膜障害における漢方薬の有効性に関する検討
Project/Area Number |
16K11357
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
佐々木 隆士 近畿大学, 医学部, 准教授 (20388573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大植 孝治 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50314315)
田中 夏美 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20456958)
銭谷 昌弘 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (40643531)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸管粘膜傷害 / シスプラチン / 漢方 / 六君子湯 / 半夏瀉心湯 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はシスプラチンによるラット腸管粘膜傷害モデルを用いて、種々の漢方薬による腸管粘膜傷害の保護効果を検討した。その結果、六君子湯と半夏瀉心湯において低用量群、高用量群ともに腸管粘膜の保護効果を認めた。具体的には、便性スコアの検討においてシスプラチン投与により軟便~水様便となったが、六君子湯・半夏瀉心湯群ともに便性の改善を認めた。また組織標本における、シスプラチン投与によって萎縮した腸管微絨毛の高さの検討では、空腸微絨毛は漢方投与群で有意差を認めなかったが、回腸微絨毛の高さは六君子湯・半夏瀉心湯群の低用量・高容量群ともにシスプラチン投与群と比較して有意に高値を示した。腸管粘膜傷害グレードの検討では、空腸は六君子湯の高用量群と半夏瀉心湯の低用量・高容量群で有意に粘膜傷害の抑制を認め、回腸では半夏瀉心湯の低用量・高容量群で有意に粘膜傷害の抑制を認めた。Ki67を用いた陰窩細胞増殖能の検討では、空腸は六君子湯高用量群と半夏瀉心湯低用量群で増殖能が有意に亢進しており、回腸では六君子湯と半夏瀉心湯で低用量群、高用量群ともに増殖能が有意に亢進していた。今年度はアポトーシスの評価やメカニズムの解析を行い、国内もしくは国際学会で発表し、論文にまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シスプラチン投与による腸管粘膜傷害モデルを用いて、便性評価、腸管微絨毛の高さの検討、陰窩細胞増殖能の検討により六君子湯と半夏瀉心湯の腸管粘膜保護効果を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
六君子湯と半夏瀉心湯の腸管粘膜保護効果の検討として、免疫組織化学染色を用いたアポトーシスの評価を行う予定である。また最近グレリンの腸管粘膜保護効果(J Pediatr Surg, 2016)が注目されており、また六君子湯とグレリンの関連は多くの報告(Methods Enzymol, 2012)があるため、グレリンリガンドや受容体の免疫組織化学染色を行い、メカニズムの検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動に伴う手続きや実験施設の工事による閉鎖等により予定が大幅に遅れながらも当初予定した実験は終了させたが,得られたデータの整理と結果に関する議論を進めていくなかで,結果を補完するためにさらなる追試と新たな項目の検討を行う必要が生じた.これらは残りの予算内で施行可能で,かつより精緻で強固な論文の作成を行う.
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