2017 Fiscal Year Research-status Report
重症患者における血中オレキシン活性がICU譫妄発症の病態機序に与える影響
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16K11406
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大藤 純 徳島大学, 大学病院, 特任教授 (40346606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綱野 祐美子 徳島大学, 病院, 特任助教 (30598040)
中瀧 恵実子 徳島大学, 病院, 助教 (60467818)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血中オレキシン濃度 / ICU譫妄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本試験への患者登録を進め、血中オレキシン濃度の測定を開始した。測定開始当初は、オレキシン濃度が安定しなかったが、検体のペプチド化により、比較的安定した測定値を得ることが出来るようになった。 現在本研究の参加者は64例であり、176検体分の血中オレキシン測定が終了している。現在までは、CAM-ICUによるせん妄や昏睡状態の場合に、血中オレキシン濃度が低下する傾向が示されている。これまでの研究結果に関しては、海外の集中治療学会において発表する予定である。 ただし、現在までのデータは、多くは低活動型せん妄を呈するものであり、過活動型譫妄でのデータはほとんど収集できていないのが現状である。活動型せん妄に対するオレキシン受容体拮抗薬の臨床的効果の報告もあり、活動型譫妄や不穏状態、あるいは夜間不眠における血中オレキシン濃度に関してもデータ収集を行う必要がある。また、現在ではサンプルサイズは少なく、譫妄や昏睡などの急性脳機能障害とオレキシン濃度の関連については、今後も更なる検討が必要である。 今年度は、更なる患者のリクルートを行い、オレキシン濃度の測定を継続すると共に、参加者の医学的背景(基礎疾患、年齢、性別、重症度、人工呼吸の有無など)や、オレキシン濃度に影響を与える因子(昼夜の違い、など)にも着目し、研究を継続したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オレキシン測定上の技術的な問題があり、測定値にばらつきが多く、また過去の報告と比較しても異常な高値となることが多かった。よって、測定上の誤差の原因の解明や測定方法の再検討に時間を要した。 検体のペプチド化を行うことで、ある程度測定上の問題は解決されたように思われる。今後は、更なるデータ収集に努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
活動型せん妄を含めて、血中オレキシン濃度とせん妄や昏睡などの急性脳機能障害との関連を調査したい。 特に、CAM-ICUによるせん妄評価は、評価時点での譫妄の有無を判定するものであり、活動型譫妄もしくは低活動型譫妄を呈している時点での測定が必要となる。患者背景などの交絡因子との関連も考慮しつつ、データ収集と解析を進めたい。
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Causes of Carryover |
理由:患者登録が想定より少なく、また検体数も100検体前後収集した段階で毎でのオレキシン濃度解析となるため、現在2回の計測に留まっており、材料費が当初より少ない。また、学会発表に至っておらず、旅費の計上も少なかったことも要因である。 使用計画:患者登録も増えて、データもそろってきている段階であり、現段階での学会発表への抄録応募も進んでいる。今後はさらなるデータ蓄積と学会や論文発表への研究資金として使用したい。
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