2018 Fiscal Year Research-status Report
TAK-1を標的とした骨破壊抑制と骨形成誘導活性を併せ持った新規抗腫瘍療法の開発
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16K11504
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺町 順平 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (20515986)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨髄腫 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫は骨破壊を来す難治性悪性腫瘍であるが、腫瘍抑制と骨病変に骨再生をもたらす治療法の開発が喫緊の臨床課題である。申請者は、骨髄腫の腫瘍進展と骨破壊・喪失をもたらす細胞内シグナルに関わる枢軸的な因子としてTAK1を見出し、TAK1阻害により腫瘍抑制のみならず、TAK1阻害薬は骨芽細胞分化を促進させ、破骨細胞分化を抑制することから、骨病変形成も抑制することが明らかとなった。今年度は、それらの結果についての詳細な機序の解析を行い、以下の結果が得られた。 1.骨髄腫患者組織アレイの結果を詳細に解析した結果、再発例になるほどTAK1のリン酸化が亢進しており、TAK1のリン酸化の程度と予後とに関連性があることが示唆された。2.腫瘍細胞のTAK1を阻害するとVEGFの発現が顕著に抑制された。3.腫瘍細胞のTAK1を阻害するとβ-1インテグリンの発現が抑制されることが前年度明らかとなったが、実際に骨髄間質細胞を用いてadhesion assayを行ったところ、顕著に腫瘍細胞の骨髄間質細胞への接着が抑制されていた。4.前年度には骨髄腫モデルマウスを用いてTAK1阻害剤の抗腫瘍効果と骨再生効果が認められた。骨への作用が直接的かを検討するために、骨粗鬆症モデルマウスを用いてTAK1阻害剤の治療効果を検討したところ、各種骨バラメータの回復が認められた。また、関節リウマチモデルにおいても治療群において骨破壊の抑制が認められた。現在、骨形態計測による詳細な解析を行っている途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定より早く、予想どうりの結果が得られ、既に学術論文への投稿を済ませた。また、TAK1は通常リン酸化されると速やかに脱リン酸化されるが、本研究により、腫瘍細胞では恒常的にリン酸化されていることが明らかとなった。そこで申請者は脱リン酸化酵素の活性の減弱によりTAK1が恒常的にリン酸化しているのではないかと考え、新たに研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼすべての項目について解析が終わったが、骨系細胞への直接作用を検討する必要が生じたため、TAK1の骨芽細胞分化および破骨細胞分化の役割をin vitroのみならず、in vivoで詳細に解析する必要がある。したがって、関節リウマチモデルや骨粗鬆症モデルを用いてTAK1阻害剤の治療j効果と、骨系細胞へ及ぼす影響について、組織学的解析を中心に行う。また、タンパク質脱リン酸化酵素に焦点を当て、TAK1の恒常的なリン酸化の機序の解明を行う。
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Causes of Carryover |
教室保有のものを使用したため、科研費使用金額が少額となった。したがって、次年度への繰越金が生じた。 骨疾患モデル(OVXモデルマウス、関節リウマチモデルマウス)を用いて、TAK1阻害の治療効果の詳細な機序を解析するため、繰越金は動物実験やその解析費用に充てる。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Therapeutic impact of TAK1 inhibition on myeloma tumor progression and bone destruction2018
Author(s)
Jumpei Teramachi, Hirofumi Tenshin, Masahiro Hiasa, Asuka Oda, Takeshi Harada, Shingen Nakamura, Hirokazu Miki, Itsuro Endo, Akihito Yamamoto, Tatsuji Haneji, Toshio Matsumoto, Masahiro Abe
Organizer
8th International Workshop on Advances in the Molecular Pharmacology and Therapeutics of Bone and other Musculoskeletal Diseases and Cancer and Bone Society 2018 Meeting
Int'l Joint Research
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[Presentation] Disruption of a progressive vicious cycle between myeloma tumor growth and bone destruction by TAK1 inhibition2018
Author(s)
Jumpei Teramachi, Hirofumi Tenshin, Masahiro Hiasa, Asuka Oda, Ariunzaya Bat-Erdene, Takeshi Harada, Shingen Nakamura, Hirokazu Miki, Itsuro Endo, Toshio Matsumoto, Masahiro Abe
Organizer
American Society for Bone and Mineral Research 2018 Annual Meeting
Int'l Joint Research
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[Presentation] Mechanisms of TAK1 over-activation in myeloma cells and TAK1-mediated myeloma growth and bone destruction2018
Author(s)
Jumpei Teramachi, Hirofumi Tenshin, Masahiro Hiasa, Asuka Oda, Ariunzaya Bat-Erdene, Takeshi Harada, Masami Iwasa, Shiro Fujii, Kimiko Sogabe, Shingen Nakamura, Hirokazu Miki, Masahiro Oura, Kumiko Kagawa, Itsuro Endo, Toshio Matsumoto, Masahiro Abe
Organizer
第80回日本血液学会学術集会
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