2017 Fiscal Year Research-status Report
メカノセンサー制御による象牙質・歯髄複合体形成機序の解明
Project/Area Number |
16K11578
|
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
畠山 純子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50374947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城戸 瑞穂 佐賀大学, 医学部, 教授 (60253457)
阿南 壽 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (80158732)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 象牙芽細胞様細胞 / 機械刺激センサー / TRPV4 |
Outline of Annual Research Achievements |
メカノストレスが歯に加わると、生体反応により象牙質の石灰化が認められる。この反応性象牙質石灰化過程において、 象牙細管にカルシウムが送り込まれるが、その作用機序は不明であった。近年、そのメカニズムの一端をになう要素として、象牙芽細胞の細胞膜に存在するナトリウム・カルシウム交換体が示された。一方、象牙芽細胞にメカノセンサーであるTRPV チャネルが存在し、石灰化過程において機能的な働きをしている可能性が報告された。これらの研究から、メカノストレス受容による TRPVチャネルの活性化により、象牙芽細胞により象牙質にカルシウムの排出がなされ、反応性象牙質形成が起こると予想される。しかしメカノストレス受容による象牙質の基質分泌および、象牙芽細胞動態に与える影響についての詳細な知見は、いまだ得られていない。そこで我々は、メカノストレスにより活性化されることが知られているTRPV4 チャネルに着目し、象牙芽細胞においてTRPV4刺激を与えたときの石灰化の程度を検討した。 本研究では、ラット歯髄由来象牙芽細胞様細胞株、KN-3細胞(九州歯科大学口腔保存治療学分野 北村知昭教授より供与)において、定量的PCR法によりTRPV4の遺伝子発現と蛍光免疫法によりTRPV4のタンパク発現を認めた。4α-PDD 、またはRN1734の添加により、KN-3細胞の細胞増殖に差は認められなかった。アリザリンレッド染色において、TRPV4促進剤である4α-PDDの添加によりKN-3細胞は有意な石灰化の促進を示し、またアルカリフォスファターゼ活性の増加を認めた。しかしTRPV4抑制剤であるRN1734の添加ではアリザリンレッド染色による石灰化の促進は認められず、アルカリフォスファターゼ活性の抑制を認めた。これらのことから、メカノセンサーTRPV4 は象牙芽細胞様細胞の硬組織形成に関与する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度(H29)は歯胚および象牙芽細胞様細胞におけるTRPV4の石灰化における役割についての検討を先行して行なっているため、当初予定していた歯胚および象牙質におけるメカノセンサーの発現解析および局在を免役組織学的染色、in situ Hybridizationによる解析が遅延している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は歯胚および象牙芽細胞における歯髄複合体におけるメカノセンサーの発現解析を行う。局在を面積組織化学的染色およびin situ Hybridizationにより、発現量を定量的PCRにより解析する。また培養細胞に進展刺激を加え、機械刺激センサーの発現についても解析を行う。
|
Causes of Carryover |
(理由)予定では、最初にマウス上下顎第一臼歯の歯胚と萌出後の歯の歯髄・象牙質を用いてメカノセンサーの発現解析および、局在を免疫組織学的染色およびin situ Hybridizationにより、発現量を定量的PCR法により解析する予定であった。現在、進行の遅延により、次年度に実験を計画しており残額が生じている。 (使用計画)今後は歯胚および象牙質における歯髄複合体におけるメカノセンサーの発現解析を行う。また現在行なっている培養細胞に進展刺激を加える実験を進行中である。
|