2021 Fiscal Year Research-status Report
メカノセンサー制御による象牙質・歯髄複合体形成機序の解明
Project/Area Number |
16K11578
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
畠山 純子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (50374947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城戸 瑞穂 佐賀大学, 医学部, 教授 (60253457)
阿南 壽 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (80158732)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 象牙芽細胞様細胞 / 機械刺激センサー / TRPV4 |
Outline of Annual Research Achievements |
メカノストレスが歯に加わると、生体反応により象牙質の石灰化が認められる。近年、反応性象牙質石灰化過程において、 象牙細管にカルシウムが送り込まれる作用機序として、象牙芽細胞の細胞膜に存在するナトリウム・カルシウム交換体が示された。一方、象牙芽細胞にメカノセンサーであるTRPV チャネルが存在し、石灰化過程において機能的な働きをする報告がなされた。これらから、メカノストレス受容による TRPVチャネルの活性化により、象牙芽細胞により象牙 質にカルシウムの排出がなされ、反応性象牙質形成が起こると予想される。我々は、メカノストレスにより活性化されることが知られているTRPV4 チャネルに着目し、象牙芽細胞にTRPV4刺激を与えたときの石灰化の程度を検討した。 本研究では、ラット歯髄由来象牙芽細胞様細胞株、KN-3細胞を用いた。KN-3細胞におけるTRPV4の発現を定量的PCR法及び蛍光免疫染色法で確認した。細胞増殖に与える影響を、TRPV4の抑制剤または促進剤を添加培養後に細胞増殖試験、また石灰化誘導培地に抑制剤または促進剤を添加して、ALP活性とアリザリンレッド染色を行い、TRPV4の象牙芽細胞石灰化能に与える影響について評価した。 KN-3細胞において、TRPV4の遺伝子発現とタンパク発現を認めた。抑制剤、促進剤添加による細胞増殖に差は認められなかった。アリザリンレッド染色において、TRPV4促進剤の添加によりKN-3細胞は有意な石灰化の促進を示し、またアルカリフォスファターゼ活性の増加を認めた。しかしTRPV4抑制剤の添加では石灰化の促進は認められず、アルカリフォスファターゼ活性の抑制を認めた。これらのことから、メカノセンサーTRPV4 は象牙芽細胞様細胞の硬組織形成に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 本年度までにin vitroにおけるRT-PCRによる石灰化マーカーの解析、TRPV4アンタゴニストによる石灰化亢進の結果を得た。当初予定していたin vivoでの歯胚 および象牙質におけるメカノセンサーの発現解析および局在を免疫組織学的染色、in situ hybridyzationによる解析が遅延している。 象牙芽細胞における TRPV4発現と機能について、定量的PCR分析および組織学的解析を行い、R2年度にその結果を基に論文発表する予定であった。しかし解析に遅れが生じたため、計 画を変更し論文発表を次年度に行うこととし、未使用額は論文投稿の経費に充てることとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
象牙芽細胞における TRPV4発現と機能について定量的PCR分析および組織学的解析を行い、論文発表を行う。未使用額は論文投稿の経費に充てることとした い。
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Causes of Carryover |
コロナ渦で大学出勤停止期間があり、研究に遅延が生じたため。
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