2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K11625
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
西川 啓介 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (10202235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆木 省吾 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80190693)
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨伝導音 / 歯列接触 / 筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
上下顎歯列の過剰な接触は歯痛、頭痛などを初めとする様々の歯科的障害の原因となることが報告されている。本研究はこの問題を解決するために、日常生活中の上下歯列の接触を客観的に観察する装置を開発し、臨床応用を行うことを目的とする。本研究ではその実現のために以下の研究を行う。1)生体内を伝播する音波である骨伝導音(Bone Conduction Sound)を利用した歯列接触モニタを開発し、上下顎歯列の接触状態を連続して記録する方法を確立する。2)日中の上下顎歯列の接触状態の終日測定を行い、咀嚼などにともなう機能的な歯列接触と、それ以外の非機能的な歯列接触の詳細を明らかにする。3)本技術を歯列接触習癖の治療装置として応用する。 本年度は歯列接触を検出する骨伝導音の測定記録とともに、前年度に購入した携帯型筋電図測定器ワイヤレスEMGロガーⅡを用いて計測した筋電図の同時測定記録を同期して解析することによって、歯列接触と咀嚼筋活動の関係について分析を行った。解析用の数値解析ソフトウェアとしてMATLAB(MathWorks社、米国)を導入し信号分析に取り入れることで、骨伝導信号と筋電図記録を高精度に同期させることとともに、骨伝導音として用いた信号の高精度なフィルタリングが可能となった。これによって会話などの環境音や、咀嚼時に生じる食品の破砕音などの雑音の影響を除去して、骨伝導音のみを高確度で判定することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨信号音と携帯型筋電図測定器の同時測定記録の解析を行った結果、歯列接触の判定に用いる骨伝導音の一部が会話などの環境音や、食事の際に生じる食品の破砕音などによって影響を受ける可能性があることが明らかとなった。またこの影響は本システムを用いて咀嚼時の歯列接触の発現状態を正確に判定するための障害となることが予想された。このような雑音による影響を軽減するためには骨伝導音を他の雑音から区別するフィルタリング処理が必要となる。そこで数値解析ソフトウェアであるMATLABの信号分析機能を用いて、骨伝導音をフィルタリングするための信号処理の条件について検討を行い、高い確度で環境等からの雑音と歯列接触信号を区別することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
日中活動時の歯列接触の発現とそれに伴う筋活動の評価を目的として、健常者ならびに歯列接触癖を自覚する被験者を対象に、歯列接触とそれに伴う筋電図の測定を行う。健常群、歯列接触癖を自覚する対象者群を被験者として選択し、本装置を用いた日中活動時の歯列接触の評価を行う。問診票と口腔内診査によって被験者を選別し、日常生活時間における歯列接触について調査を行う。この調査では、健常者と歯列接触習癖自覚者の歯列接触の違いと、それに伴う筋活動の特徴を明らかにする。 また食事の際に行われる咀嚼の回数の測定は、児童期では食育に、青年期から中年期では肥満の予防に、高齢期においては咀嚼機能の維持など、さまざまな領域において活用されることが期待されている。そこで本装置を食事の際の咀嚼回数を計測する咀嚼カウンターとして応用することについて検討を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 申請者が徳島文理大学へ異動したため、新たな研究環境の構築が必要となった。これに伴い研究の実施に必要な用品と消耗品の再点検が必要となった。 (使用計画) 新年度において必要な用品と消耗品を新たに購入し、研究を継続する。
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