2017 Fiscal Year Research-status Report
3D-Printerで容易に成形できるリン酸カルシウムセメントの創製
Project/Area Number |
16K11626
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河野 文昭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (60195120)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 賢一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (00301317)
篠原 千尋 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (50332820)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 3Dプリンター / リン酸カルシウムセメント / 流動性 / 粉液比 / ゲル化剤濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
3Dプリンターを用いてリン酸カルシウムセメント(CPC)ペーストを成形する際の問題の1つは,硬化前のペーストの流動性と,セメント硬化体の強度が相反する点にある。すなわち,成形性を高めるためにはペーストの流動性を上げ,細い射出口からの射出を可能とする必要があるが,流動性を上げるためにセメント粉末に対する練和液の比率(粉液比)を低下させると,硬化体の強度が低下する。さらに,硬化時間が長いCPCペーストの積層においては,下層のペーストの硬化前に上層が積まれるため,下層が潰れて形状を維持できないという問題も生じる。 本研究では,CPC粉末を微粉化することで,ペーストの流動性と硬化体の強度の両立が可能となる3Dプリント用CPCペーストの開発を進めてきた。一方,硬化が遅く,積層が困難である点は未解決であった。そこでゲル化剤を添加してぺーストの強度を向上させることで,積層が可能となるか検討した。ゲル化剤には逆温度ゲルであるポロキサマーを用いた。CPCは高温で速く硬化するため,射出可能時間を伸ばすためにはペーストを低温に保持することが望ましい。そこで,低温で軟化する逆温度ゲルを用いることで,射出時には冷却してペーストの流動性を確保し,射出後は直ちにペーストを加熱することで積層中のペーストの強度を維持し,CPCの硬化を加速することを狙った。 粉液比とゲル化剤濃度を様々に組み合わせて試作した結果,高さ約5mmまで形状を維持した積層が可能となった。また,ペースト容器を大きくして連続射出量を増やすことができれば,さらに積層は可能と期待できた。その一方,射出口が細いとペーストがらせん状に射出され,形状再現性に問題があった。その原因は未解明だが,ゲル化剤濃度により射出されたペーストの形状が異なることから,射出口のサイズと形状の最適化が必要と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.射出口が細いとペーストがらせん状に射出され,形状再現性に問題があった。その原因は未解明だが,ゲル化剤濃度により射出されたペーストの形状が異なることから,射出口のサイズと形状の最適化が必要と考えられた。射出部の新たな設計が必要であり、射出口の直径、射出圧の検討を行う必要がある。 2.リン酸カルシウムセメント流動性を高くするとともに、形状保持ができる適切な流動性の評価に時間がかった。現在もセメント流動性を検討しており、最適な流動性を本年度中に決定する。 3.セメント硬化体の生体吸収性,生体親和性及び骨伝導性の評価を細胞培養試験(RT・PCR法)は実施できているが、3Dプリンタで試料作成が進まないため、硬組織および軟組織埋入試験(家兎)により骨伝導性,生体親和性および生体吸収性などの評価が進んでいない。3Dプリンターで試料を作製と平行して実験を進める予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.射出部の改良 現在、射出口の形状(大きさ、長さ)射出圧を検討している。 2.リン酸カルシウムセメント流動性の検討 射出が可能で形状保持ができる適切な最適な流動性を本年度中に決定する。 3.セメント硬化体の生体吸収性,生体親和性及び骨伝導性の評価 試作セメント硬化体の細胞培養試験(RT・PCR法)は、順次実施している。3Dプリンタで作成した試料を用いて、硬組織および軟組織埋入試験(家兎)による骨伝導性,生体親和性および生体 吸収性などの評価を進める。
|
Causes of Carryover |
射出部の検討を行っていたため、消耗品の購入が少なかった。射出部のノズルの改造を行うため、次年度使用額を利用する予定である。また、3Dプリンタを制御するPCのスペックが低いため、新規に購入し、効率化を図る予定である。
|
Research Products
(2 results)