2016 Fiscal Year Research-status Report
原子層堆積処理をした生体移植用材料のin vitroおよびin vivo評価
Project/Area Number |
16K11666
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
林 達秀 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (70367621)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原子層堆積(ALD) / 電子ビーム粉末積層造形(EBM) / in vitro |
Outline of Annual Research Achievements |
原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)は,材料上に超薄膜を生成可能にする技術である. 本研究プロジェクトにおいてまず,電子ビーム粉末積層造型法(Electron Beam Melting;EBM)により作製した純チタンディスク(Tiディスク)上に原子層堆積(ALD)装置によるジルコニア(ZrO2)の成膜を行った.(設定成膜厚=50 nm) まずはTiディスク上の成膜の様子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したが,均一の厚さに成膜されているのが確認できたのと,さらに,少し入り組んだ部位にも同様に成膜されることが確認できた.次に成膜状態を詳細に検討するためにエックス線光電子分光法(XPS)による分析を行った.分析範囲(100 μm)内でTiは検出されなかったことからもZrO2による成膜がなされていることが元素レベルで確認できた.さらに,その表面状態を分析した結果,ZrはZrOとZrO2の2つの状態で存在していることが分かり,その比率は約1:4であった. また,Arイオンスパッタリング(スパッタレート:4nm/min)により成膜厚について検討したところ,Tiはスパッタ時間6分以降から検出され、ZrとTiの組成が逆転するスパッタ時間は約18分であったことから,ZrO2の成膜圧は約72nmであり,これは設定した膜厚よりも20 nmほど厚いことが分かった.一方,SEMにおいて純チタンとZrO2の間に異なる層が見られたが,同様に元素分析を行った結果,それはTiO2であることが分かり,30 nm程度の厚さであった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ALDによる成膜はALDジャパンに委託しているが,装置が不調で,設定通り(50 nm)の成膜厚になっていないことが分かった.これはコンプレッサーの容量不足が原因でなないかと考えている.近々 コンプレッサーを取り替えて成膜する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは設定通りの成膜厚になるようにする.また成膜後,ZrO2膜上に最大100 nm程度の粒子が多数見られるので,それが何であるかを分析し,生成される原因を突き止めたい. 造形直後の純チタンディスクの平均線中心粗さは8.834μmであり,250μm程度の凹凸が無数にある.この凹凸は細胞の生着・増殖に特に影響しないことが既に分かっているので,成膜前にバレル研磨を行いこの可及的に凹凸を除去する.その後,ZrO2成膜をした純チタンディスク上でマウス線維芽細胞(L929)を培養し,その生着・増殖の様子を観察する予定である. さらに,成膜厚の違いが細胞の生着・増殖に影響を与えるか否かを検討する.
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Causes of Carryover |
平成28年度中に英文校正を依頼する予定でいたが,論文執筆が間に合わなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文執筆が完了次第 英文校正を依頼する予定でいる.
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