2016 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴミエリン合成酵素を標的とした口腔癌のリンパ節転移阻害機序の解明
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16K11710
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
松本 剛一 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (60199867)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | SMS1 / SMS2 / sphingomyelin / osteoblast |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】スフィンゴミエリン(SM)は細胞膜の重要な構成成分であり、脂質マイクロドメインと呼ばれるコレステロールに富む領域を形成している。脂質マイクロドメインには増殖因子受容体や細胞内シグナル伝達分子などが局在し、様々な細胞生理活性に関与している。SMの合成を触媒するスフィンゴミエリン合成酵素(SMS)にはSMS1とSMS2があり、SMS1はゴルジ体に、SMS2はゴルジ体と形質膜に存在するが、それぞれの生理的な機能については十分に解明されていない。SMSが骨芽細胞の石灰化領域や骨細胞に発現することから、骨格形成におけるSMSの機能を解析する目的でSMS1あるいはSMS2ノックアウトマウスを作製したところ、SMS1ノックアウトマウスは野生型に比べて体格的に小柄で、原因不詳であるが生後半年以内にほとんどのマウスは死亡し、また雄マウスは不妊であった。 【方法および結果】先ず、SMS2ノックアウトマウスをバックグランドに、骨芽細胞特異的にSMS1がノックアウトされたSP7 (Osterix)-Cre; SMS1flo/flo,SMS2-/-マウスを作製して解析を行った。SP7-Cre; SMS1flo/flo,SMS2-/-マウスは野生型やSMS1flo/flo,SMS2-/-マウスと比較して体が小さく、成長障害が認められた。また骨の組織形態解析を行ったところ骨密度が低下した骨粗鬆症様の病態を示していた。そのメカニズムを解析するために、Rosa-CreER, SMS1flo/flo,SMS2-/-マウス頭蓋骨から採取した骨芽細胞を4-hydroxy tamoxifen (4-OHT)で処理を行うことで、in vitroにおいてSMS1をノックアウトさせる系を用いて骨芽細胞の分化について解析を行った。その結果、骨芽細胞のSMS1がノックアウトされると、骨芽細胞の分化が抑制されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
癌の骨転移について解析をするための予備実験として、sphingomyelin合成酵素であるSMS1およびSMS2ノックアウト(条件付きノックアウト)マウスを使って、骨形成におよぼすSMSの影響について解析を行ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は骨形成能におよぼすSMSの影響についての解析を終了すること。癌の骨転移におよぼすSMSの影響を解析する目的で、SMSノックアウトマウスに腫瘍細胞を移植して、骨転移の変化について野生型マウスをコントロールとして、比較検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
学会発表等の旅費の支出がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表および学会参加費、または物品等の購入費に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)