2017 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴミエリン合成酵素を標的とした口腔癌のリンパ節転移阻害機序の解明
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16K11710
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
松本 剛一 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (60199867)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スフィンゴミエリン合成酵素 / 骨粗鬆症 / 骨芽細胞 / 骨代謝 / 扁平上皮癌 / リンパ節転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、セラミドからスフィンゴミエリンの合成に関わる脂質代謝酵素の一つであるスフィンゴミエリン合成酵素のリンパ管新生阻害作用と口腔癌細胞のリンパ節転移能との関連性を詳細に解析し、スフィンゴミエリン合成酵素による口腔癌のリンパ節転移を制御する新たな作用機序を解明することを目的としている。 本年度の研究成果としては、マウス扁平上皮癌細胞株SCCVIIにクリスパーキャス9法を用いて、SMS1あるいはSMS2遺伝子をノックアウトさせた細胞株の樹立を行った。ノックアウトさせた癌細胞は、細胞増殖能には変化はみられなかった。 次に、スフィンゴミエリン合成酵素のSMS1が骨代謝制御に関わっていることを昨年度に見出したが、今年度はその詳細な機序を明らかにするために、タモキシフェン誘導性に骨芽細胞のSMS1の発現をノックアウトさせる系を用いて、骨芽細胞分化因子であるBMP2刺激におよぼすSMS1の影響について解析を行ったところ、BMP2刺激によるSmad1/5/8経路のリン酸化が抑制されていたことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①マウス扁平上皮癌細胞のSCCVIIにクリスパーキャス9を用いて、SMS1あるいはSMS2遺伝子をノックアウトさせた細胞株の樹立を行った。 ②骨芽細胞特異的にスフィンゴミエリン合成酵素(SMS1)の遺伝子を欠損させると骨の分化が抑制されることが明らかとなった。特にSMS1をノックアウトさせることで、骨形成に関わる遺伝子群のアルカリフォスファターゼ、コラーゲンタイプ1、オステオカルシン、オステオポンチン、ボーンシアロプロテインの著しい発現低下が確認された。またBone morphogenic protein 2(BMP2)は骨芽細胞の分化を促進するタンパクであることから、骨芽細胞の培養系にBMP2を添加して骨芽細胞の分化能について解析を行うと、SMS1欠損により、コラーゲンタイプ1、オステオポンチン、ボーンシアロプロテインの発現が低下し、石灰化能の低下がみられた。またBMP2によりSmad1/5/8の経路のリン酸化誘導が抑制されていた。
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Strategy for Future Research Activity |
SMS1あるいはSMS2遺伝子をノックアウトさせたSCCVIIマウス扁平上皮癌細胞をマウスに移植して、癌細胞の所属リンパ節への転移、腫瘍の血管新生およびリンパ管新生の変化について、in vivoで詳細に解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
理由:消耗品の支出が抑えられた。 使用計画:論文掲載費、マウス解析の委託費に充当する。
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Research Products
(2 results)