2017 Fiscal Year Research-status Report
発生期の上皮間葉相互作用を再現したiPS細胞の分化誘導法と唾液腺再生医療の開発
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16K11751
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山村 佳子 徳島大学, 病院, 助教 (00581406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 洋二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (20200214)
玉谷 哲也 徳島大学, 病院, 講師 (30274236)
高丸 菜都美 徳島大学, 病院, 助教 (40513031)
永井 宏和 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (50282190) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 顎下腺結紮モデルマウス / マイクロアレイ解析 / 腺房細胞 / 導管細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Tamarinらの方法に準じて,ジエチルエーテル麻酔下にマウス(C57BL/6JJcl, 8週,雌性,日本クレア社)の顎下腺をチタンクリップ(MINI 17-001-95, スギタチタンクリップⅡ)で結紮し,顎下腺結紮モデルマウスを作成した。結紮モデルマウスを24時間後および1週間後に屠殺,顎下腺を摘出し,形態の変化とヘマトキシリン・エオジン染色を用いて組織学的変化の観察を行った。その結果,1週間結紮顎下腺は,非結紮顎下腺と比較して,大きさ,重量ともに減少しており,やや弾性硬であった。また,24時間結紮した顎下腺組織の導管は拡張していた。1週間結紮した顎下腺組織では,腺房細胞は萎縮し,その周囲に炎症細胞が浸潤しており,導管細胞は残存していた。これら組織学的変化を参考に,24時間結紮した顎下腺と非結紮顎下腺組織について,Sure Print G3マウス遺伝子発現8×60kv2(Agilent Technologies Japan)および3D Gene Mouse miRNA Oligoチップ(TORAY、Japan)を用いて,遺伝子およびmiRNAの発現変化を調べた。マイクロアレイ解析において,非結紮顎下腺に比較して24時間結紮した顎下腺で4倍以上発現が上昇した15 miRNAおよび103遺伝子,1/4倍以下に発現が低下した13 miRNAおよび150遺伝子を確認した。 今後,顎下腺の結紮によって発現変化したmiRNAの標的遺伝子をmiRBaseとmiRDBデータベースを用いて検索し,顎下腺萎縮に関連する遺伝子とmiRNAの発現定量を行う予定である。さらに,顎下腺組織から腺房細胞および導管細胞を採取して初代培養を行い,iPS細胞と共培養を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス顎下腺を24時間および1週間結紮し,結紮した顎下腺を摘出した。ヘマトキシリン-エオジン染色を行い,24時間結紮顎下腺では,導管の拡張を,1週間結紮顎下腺では,腺房細胞の萎縮と導管細胞の残存を確認した。また,24週間結紮顎下腺と非結紮顎下腺の発現変化について,マイクロアレイ解析を行った。その結果,非結紮顎下腺に比較して24時間結紮で4倍以上発現が上昇した15microRNAおよび103遺伝子,1/4倍以下に発現が低下した13microRNAおよび150遺伝子を確認した。 本年度までの計画では,幹細胞マーカーの検索を行う予定であったが,マイクロアレイ解析の結果,発現変化の大きかった未知の遺伝子およびmicroRNAが多数認められたため,それぞれの遺伝子およびmicroRNAの解析に時間を要している状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
24週間結紮顎下腺と非結紮顎下腺の発現変化についてのマイクロアレイ解析の結果をもとに,候補となったmicroRNAから予想される標的遺伝子をmiRBaseとmiRDBデータベースを用いて検索する。顎下腺萎縮に関連する遺伝子とmiRNAの発現定量を行い,唾液腺幹細胞マーカーを特定する。 また,結紮モデルマウスおよび正常マウスの顎下腺組織から唾液腺細胞(腺房細胞・導管細胞)を採取して分離培養する。分離培養した唾液腺細胞とiPS細胞を共培養し,唾液腺組織の発生段階での上皮ー間葉相互作用を再現して,唾液腺組織の再生を試みる。分化誘導されたiPS細胞由来の唾液腺細胞に対して,免疫染色を行い,AQP5の発現を検討する。 さらにiPS細胞由来の唾液腺細胞を,ヌードマウスの欠損させた顎下腺または腎皮膜下に移植して,生体内での分化。機能を検討する。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由)マイクロアレイ解析による候補microRNAより予想される標的遺伝子を確認中で,候補遺伝子のリアルタイムPCR法による定量には至っていない状況であり,次年度の課題とした。そのため,リアルタイムPCRに使用する試薬の購入ができていないためである。 (使用計画)候補microRNAより予想される標的遺伝子を確認し,リアルタイムPCRで定量を行う。リアルタイムPCRに使用する試薬の購入を予定している。 また,唾液腺細胞を分離培養して,iPS細胞と共培養し,ヌードマウスに移植するため,マウスの購入を予定している。
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Research Products
(3 results)